<美術鑑賞会>
■紹介私たち美術鑑賞会の略称は《GVC》です。会員の安部隆雄さんに名付けて頂いたものでGallery Visiting Circleの略称です。現在会員数は40名(女性20名、男性20名)毎月首都圏の美術館を巡って話題の特別企画展を鑑賞し、ティーブレイクでワイワイガヤガヤ関西弁を楽しんでいる気楽なサークルです。みなさんの体験参加は大歓迎です。お気軽に飛び込み参加してください。
12/17 本年最後の例会は横浜美術館で開催中(12/31まで)の「ドガ展」でした。快晴のYOKOHAMAに集まったのは11名でした。“エドガー・ドガ待望の大回顧展”と名づけられた本展示会は、オルセー美術館の全面的な協力を得て、国内では21年ぶりの回顧展となりました。以下、主催者のパンフレット・WEBページからの抜粋を以って、ドガ展を展観して見ましょう。ドガが描いた踊り子の作品の中でも、傑作として名高い「エトワール」が初めて日本で公開されます。「エトワール(星)」とは、パリ、オペラ座で、プリンシパル(主役を踊る踊り子)のなかでも特に花形だけに与えられる称号です。ドガの確かなデッサン力によって、スポットライトを浴びて踊るエトワールの一瞬の動きが永遠にとどめられています。稽古場や舞台裏の踊り子たちを好んで画題としたドガの作品のなかで、この作品は上演光景を描いた数少ない作例の一つです。大胆な対角線の構図で構成され、高い位置にあるボックス席からオペラグラスを通して舞台上の踊り子を見ているような視点がとられています。一瞬の動き・・首に巻いた黒いリボンのたなびき、ウエストから裾にむけて散らされた花束の花びらが、放射状にのばした手足の動きと呼応して、踊り子の美しい動きを強調しています。人工的な光の表現・・ドガは、踊り子の顎や額、胸や腕に明るいベージュで、そして衣装のチュチュや脚の輪郭、バレエシューズには輝くようなホワイトでハイライトをいれ、下からのフットライトを浴びて踊り子が浮き上がるような効果を出しています。パステルを重ね、光を受けて透ける衣装の素材感までも描き出しています。複雑な技法・・大胆に塗り重ねた青と緑のパステルの下に、指や絵筆で版画のインクを拭き取った跡を見ることができます。この作品は、モノタイプで作った下地の上にパステルを重ねて描いています。モノタイプは銅板やガラス板の上に塗ったインクを拭き取って図柄を描き、それを紙に写し取る版画技法の一種です。この技法により、人工的な光のドラマチックな効果を実現しています。謎の紳士・・舞台袖に、出番を控える踊り子に混じって、黒い背広姿の紳士が立っています。明らかにダンサーとは異なる立ち姿の謎の紳士は、舞台で踊る踊り子のパトロンと考えられています。当時、オペラ座に通う紳士たちは、踊り子のパトロンとなる者も少なくなかったと言われています。ドガは、舞台上の華やかな世界と同時に、舞台裏で繰り広げられるドラマにも鋭い視線を注いでいるのです。第1章古典主義からの出発1834年、裕福な銀行家の息子としてパリに生まれたドガは、大学で法律を学びますが画家を志して中退。1855年にパリ国立美術学校に入学し、アングルの弟子ルイ・ラモートに師事しました。ルーヴル美術館でフランスの古典絵画を模写し、またイタリアを訪れ、ルネサンス絵画を研究しました。1862年にはマネと知り合ってカフェ・ゲルボワに集う革新的な画家グループと接触し、やがてその中心人物の一人となりました。1865年にサロンにデビューしたドガは、初期には歴史画や肖像画を描きましたが、やがて同時代的主題へと移行してゆきます。第2章実験と革新の時代伝統的なサロンに不満をもったドガは、1874年に仲間たちと独自の展覧会(印象派展)を組織しました。ドガは、8回開催された印象派展のうちの7回に出品しましたが、屋外で風景を描いた多くの印象派の画家たちとは異なり、アトリエ内でデッサンを再構成し、緻密に計算して画面を作りました。ドガはアカデミックな歴史画に決別し、都市の日常的な情景をテーマとして、踊り子や馬の瞬間的な動きの美を画面に描き留めました。また、クローズアップや断ち落としなどの大胆な構図、版画とパステルを併用した新しい技法の研究など、既成の美術の枠に囚われない実験を重ねて名品の数々を生み出し、絵画の近代を切り開きました。第3章綜合とさらなる展開最後の印象派展が開かれた1886年前後からドガの芸術は転換期を迎えました。対象を間近に見る視点がとられ、構図がより単純化され、それまでの実験の成果が集約されてゆきます。踊り子と並び、入浴する裸婦を主要なテーマとして、身体の柔らかなフォルムや輝くような皮膚の質感を描きました。次第に視覚が衰えてゆくなかで、着彩と素描が同時に可能なパステルが重要な画材となってゆきます。さらに、90年代以降は、強いコントラストの色彩、単純なフォルム、表現力豊かな描線で、大きな画面に裸婦や踊り子を描きました。また、以前から関心のあった写真を自分でも撮影し、写真から直接インスピレーションを受けた作品も制作しました。この時期には、触覚的に制作できる彫刻を多数手がけ、立体的にバランスや動きの表現を追究しました。トピックス踊り子・・19世紀後半、パリのオペラ座はブルジョワ階級の紳士たちの社交場で、華やかな舞台の裏では踊り子との愛の駆け引きも繰り広げられました。20代の頃から定期会員になってオペラ座に通っていたドガは、舞台で踊る踊り子や、舞台袖、稽古場、控え室などで過ごす踊り子たちの姿を繰り返し描き、「踊り子の画家」と呼ばれるようになりました。ドガの全作品の半分以上がこの主題で占められています。都市の新しい娯楽、競馬・・1857年ブーローニュの森に客席付のロンシャン競馬場が開設され、競馬はパリにおける重要な社交イベントになりました。ドガは、競馬場にしばしば足を運び、躍動する馬の美しさや華やかな雰囲気の虜になり、競馬を画題とする多くの名作を生み出しました。日本美術の影響・・19世紀後半のパリでは、万国博覧会などをきっかけに紹介された日本美術が人気を博し、多くの画家たちが影響を受けました。ドガ自身も日本美術を収集し、100点余りの浮世絵や絵本を持っていたことが知られています。湯浴みする女性などの画題、クローズアップや大胆なトリミング、扇型の画面などには、日本の浮世絵や扇面画からの影響が見られます。写真・・19世紀中頃に確立された写真術は、当時の画家たちにさまざまな影響を与えました。ドガは、早くから写真に関心を持ち、エドワード・マイブリッジの連続写真を参照して、走る馬のデッサンをしたことが知られています。1890年代にはドガ自身カメラを入手し、友人たちの写真を撮りました。没後、アトリエから踊り子や裸婦の写真も見つかり、絵画制作の面で写真を応用していたことが知られています。彫刻・・1881年、第6回「印象派展」に出品した《14歳の小さな踊り子》は、ドガが生前に発表した唯一の彫刻作品です。しかし、没後のアトリエからは150点ほどの粘土や蝋による彫刻の小品が発見され、そのうちの約半数が鋳造されました。それらは、絶妙なバランスをとる踊り子の一瞬の動きを捉えられており、彫刻家としてのドガの卓越した技量をみることができます。ドガの人間像・・ドガの人柄については、感情の起伏が激しい、議論好き、気むずかしい皮肉屋、女嫌いなどとも伝えられますが、その一方で、マネやルノワールなど画家の友人も多く、ポール・ヴァレリーやステファン・マラルメなど、同時代の文学者や知識人とも幅広い交流を持っていました。音楽を愛し、自らソネット(14行詩)を書くなど、豊かな教養を持った魅力的な人物だったことがうかがえます。生涯独身で過ごしましたが、女性画家メアリー・カサットとは、互いに尊敬しあう友情をはぐくんだとも伝えられています。
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