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<囲碁 サークル>

私の囲碁  


山田芳弘(S33法卒)
                            
会社退職後、中小企業診断士、ITコーディネーターとしてコンサルタントや講師の仕事をしていたが、4年前の平成20年に仕事を終息させ、三日月会東京支部の囲碁サークルに参加した。

元来、勝負事が好きで、小さい頃から正月は家族で花札やトランプ遊びに興じ、近所の板台将棋で将棋を覚え、小学生の頃は家族麻雀をよくやった。碁を覚えたのは、中学生頃ではないかと思う。父親、弟、伯父、従兄と打つ程度であったが、高校卒業する頃は父親には楽に勝っていた。
大学に入って、1、2カ月して西宮北口の囲碁部に行ったが、碁会所の親父が気に入らなくて入部しなかった。
会社に入ってコンピュータの仕事に携わり、数年間は残業、徹夜の連続で仕事以外のことに手を出す余裕はなかった。その後、仕事も落ち着き、会社の囲碁部に入り、対外試合にも参加した。会社時代は社内の付合い麻雀が多く、囲碁は部の練習日に打つ程度だった。しかし、時として仕事が暇になった時期には、毎日さっさと家に帰り、毎晩炬燵に入って、一人で碁盤に向かっていたことが幾度かある。
会社を止め、コンサルタント業を始めた頃、最初は仕事が少なく、この頃、毎週土日は近くの碁会所に通っていた。この時、少し力が付いたような気がする。その中、中小企業診断士の資格を取り、ITコーディネーターの資格も取り、仕事が忙しくなってきたので、勝負事に手を出している暇がなくなってきた。個人企業は、大企業よりずっと忙しいことが身にしみて分かった。しかし、その間も、毎日、新聞を読むときに囲碁欄には必ず目を通し、年に2,3回は会社のOB会や中小企業診断協会の囲碁大会に参加していた。自身では棋力が落ちるという感じはなかった。
この頃、友人の紹介で、現在の囲碁サークル会長の由利先輩にお会いし、コンサルタントの仕事をいただいた。これがきっかけで年賀状を交換するようになり、三日月会囲碁サークルへの参加のお誘いを受けていた。古希を過ぎ、いつまでも頑張っていては、色々な面で弊害も出てくると思い、生活の中心を仕事から趣味へ転換することにした。

現在は、囲碁と山歩きの生活で、週に一度碁を打ち、週に一度山歩きをする。残りの日は棋譜を並べ、散歩をして時間が過ぎてゆく。
対戦するのは楽しいが、棋譜を並べるのがより楽しく感じることもある。現在、棋戦はたくさんあり、全部を並べることはとてもできない。棋譜を並べるのはNHK囲碁トーナメントと名人戦に絞っている。NHK囲碁トーナメントは多くの囲碁ファンが観ているので、棋士が必死で取り組む。同時に早碁であり、波乱の多い棋戦である。名人戦は、張栩棋聖・王座、山下名人・本因坊、羽根碁聖、高尾九段の平成四天王、井山十段・天元、結城九段、河野九段の実力者が競っている大変ホットな棋戦である。
NHK囲碁トーナメントでは、日曜日のテレビで観戦し、翌月のNHK囲碁講座テキストに掲載される棋譜を並べる。その後、録画しておいたテレビ放送を再度観戦し、いくつか疑問も残るが自分なりに納得している。
名人戦は、朝日新聞に載っている棋譜を全部並べる。最終予選の抜粋、挑戦者決定リーグ戦、挑戦手合いなど。

今、こうして囲碁について書いていると、囲碁は本来二人で対戦する競技であり、対戦すること、そして勝つことが囲碁の面白さの本質だと思う。棋譜を並べるのが本当に楽しいのだろうか? 強くなるために無理して努力しているのではないか、と自問してみる。確かに強くなりたい気持ちはあるが、努力しているという感覚ではない。
先月テレビで見た対局をNHK囲碁テキストの解説を読みながら棋譜を並べる。名人戦では、毎日、新聞で見ていた対局が終局したところで、棋譜をまとめて並べる。解説があるので、一応は納得して並べるが、解説だけでは理解しきれないものがある。納得できないところは何回も並べ直していると、自分なりに「そう云うことなのか」と見えてくるものもある。
プロの碁は流れ全体に面白みがある。布石の手順、中盤勝負処のねじりあい、寄せの巧みな手筋など退屈することはない。興味を惹くポイントは、先手の取り合い、手抜きのタイミング、戦いの前の利かし、随所に現れる手筋、劫だねづくり、捨石作戦、勝負手など色々ある。
対局ごとに状況は異なり、盤上に現れる石の戦い、石の流れ、戦略、駆け引きなどは、常に新たな筋書きを作り出し、期待通りの、或いは予想外の決着を迎える。これは二人の棋士が、対戦の中で、石の戦いを必死になって演出しているといってもいい。だから、プロの棋譜を並べることにより、自分の実戦では経験できない石の戦いを疑似体験でき、自分自身が実戦で認識している囲碁と違った、より拡張された囲碁が認識される。実戦でも、強い人に打ってもらうと、「あれ!そんなことができるの」と思うことがある。レベルの差はあるが同じようなことだと思う。
トッププロの碁は名誉と生活がかかっており、意地の極限状態で戦っているから、最高の知能が限界の指し手をひねり出し、ぶつかりあっている。常に、無意識の中で、最高度に演出された筋書きが盤上に展開されているので、面白い対局が現れるのだと思う。
最近で最も印象に残っているのは、昨年11月のNHKテレビ囲碁で羽根碁聖(先番)と村川7段との対局だ。村川7段が碁盤中央で羽根碁聖の黒石を11子取り込んだときは、これで村川7段の勝は決まりだと思った。しかし、羽根碁聖はその11子を捨石に隅の地を大きく囲って結果は羽根碁聖の7目半勝ちとなった。
また、今年3月NHKテレビ囲碁の決勝戦で今度は結城九段が捨石作戦を成功させ、羽根碁聖を破って優勝した。
「捨石作戦」もケースはいろいろだが、最初はまともに戦っていて、途中で捨石にしようと作戦を切り替えた場合、捨てようと動き出したのはどの手か、相手が捨てた作戦目的に気が付いたのはどの手あたりか、そのギャップが大きいほど捨石の効果が大きい。解説を読みながら棋譜を並べてみると、このあたりの石の流れが分かってくる。村川7段が先の碁の自戦解説で、羽根碁聖が捨石に出たのは直ぐに認識しているが、重大さに気付いたのは6手後だと言っている。
プロの対局を並べていると自分の実戦では経験できない碁の面白みに遭遇することができる。これが棋譜を並べることを実戦以上に楽しくさせているのだと思う。ここ数年では、井山と張栩、井山と山下の番碁は想像を絶する激しさがあり、予測できない面白さがある。
囲碁は、白と黒の石を交互に打っているのに、石の持っていき方で一方に有利に流れたり、不思議と思えるような現象が起こったりする。囲碁と云う競技そのものに奥深さや広がりが出てくる所以なのだろう。

囲碁サークルに参加した時は、持ち点140点だったが、現在は170点台に達している。昨年の囲碁サークルの秋の旅行では優勝させてもらった。とても楽しいサークルだ。また、このサークルに加入したお陰で少し強くなったような気がする。しかし、何時までも 喜ばせてもらえるわけでもない。直ぐにも回りがどんどん強くなり、喜ばせる側に回らざるをえなくなるかもしれない。最後まで笑えるよう頑張ろう。
以上
平成24年6月26日


対局中の 山田さんランバスホールで、囲碁サークルの仲間と


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