教師をやめて上京し、ヴァイオリンで一旗あげようと決意。
「ヴァイオリンを始めるきっかけになった4歳上の幼なじみのお兄さんが日本フィルハーモニー交響楽団(以下、日本フィル)にいたんですよ。そこで、一生懸命練習して、東京に出てきてから、突然お兄さんのもとに訪れて相談したんです」
そのガッツを認められて、全面的にバックアップ。おかげで1年後、見事、入団を果たす。
「とにかく嬉しくって、演奏はもちろん、演奏以外でも何かできることはしていきたいという思いがいっぱいでしたね」
その信念のもと、日本フィルの活動を写真で記録したり、阪神大震災や中越地震のときには救援コンサートを開催するなど、幅広く活動を行っている。特に、KG生にも多大な影響を与えた阪神大震災のときには
「音楽の力で少しでも疲弊した心を癒してもらえれば、という思いで、
有志たちと『樹々の歌合奏団』を結成して、述べ50回くらい公演しましたね。そのときの地域の人との交流はとても心に残っています」
実際に「聞く」「見る」「感じる」
直接的な体験を増やしてほしい。
松本さんが今の時代だからこそ、大切にしていること。それは、実際に体験する、ということ。
「今はネットなどで、情報は簡単に手に入りますよね。実際にいろんなことを体験することは、どんなことにも必要。ネットや人からの話など、何かを媒介にするのではなく、直接、自分で見たり、聞いたり、触ったりする。その場で人と空間を共有すると、何か感じるものが必ずあるはず! オーケストラって不思議なものでね。同じ曲でも指揮者次第で音色が変わるんですよ。構えずに、月に1回でも、非日常的な空間に身をおいて響きわたる生の音をぜひ経験してみてほしいですね」
現在は、8月に行われるリサイタルに向けて、日夜練習に励む日々。ヴァイオリンから紡ぎだされる繊細な音色の奥深さを体感してみては?