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社会で活躍する同窓生をCLOSE UP 輝くKG同窓生のインタビューとメッセージを掲載します。

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  018 堀 主知ロバートさん  株式会社サイバード 代表取締役会長


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変化を恐れないこと
そして
「ありがとう」から利益が生まれる



IT革命時代といわれて早10余年、もはやパソコンや携帯電話などのデジタルツールは完全に人々の生活のなかに浸透。「インフラが整った世の中において、一人一人のエンドユーザーが本質的に要求する便利というものをタイムリーに提供したい」……株式会社サイバードの設立者であり代表取締役会長の堀 主知ロバートさんはそう語る。ここでは、会社設立からわずか7年で年間売上高125億円にまで達する企業へと成長させた、カリスマ起業家の少年時代から学生時代に至るまでを追った。さらに、起業家としての信条、若者へのメッセージから現在の学校教育に至るまでをたっぷりと語っていただいた。  

子どものやりたいこと全てに“NO”を突きつける教育法が、起業家精神を育む

お父様をはじめ、伯父様やお母様の兄弟に至るまで、そのほとんどが関学出身。しかも、住まいは正門から徒歩3分という環境で育った堀さんにとって、関学中学部に入学することは当たり前な環境だった。

「我が家の教育は本当に厳しかったですね。物心ついた頃からやることなすこと全てにダメだしをされました。正論で考えて、これならOKだろうと思うことでも、記憶にある限りまかり通ったことはありませんね。例えば、クラブ活動を選ぶにあたっても、小学生の時に水泳部だったので中学でも水泳をやりたいと言うと、答えはNO。高校生の時など、なんと門限が16時。学校から帰り「ちょっと友達とお茶飲んでくる」と言おうものなら、「じゃあ、もう帰ってこなくていい」とくるわけです(笑)。そこには、理屈など存在しないんですね」

厳しい教育、生活環境のなかから、起業家としての資質や競争心が自然と芽生える。

「僕には弟が一人いますが、弟にはなんでもOK、ダメ出しされるのは僕だけなので子どもの頃は「きっとオレは橋の下の子や」と本気で思いました(笑)。うちは人の出入りも多く、一時期など親戚も含めて25人ほどが一緒に暮らしていたほど。その中で祖父はゴットファーザーのような存在で、特に大きな影響を受けました。両親をはじめ周りにいる大人たちは皆何かしら商売をしているため、タフで自立している人の集団の中で逞しく育てられたわけです。ですから、みんなを追い越してやろうと思い自分なりに一生懸命考える。そうして周囲の大人に「どう思う?」と聞くと、四方八方から「アホかお前」とやられてしまいます(笑)。30代を過ぎた頃に初めて育て方の真意を聞いたのですが、両親は“世の中は自分の思い通りにならない”ということを教えこもうとしたとか。そのため、子どもが“やりたい”と意思表明したことは全て“ダメ”というルールになっていたらしいのです。そこから僕が学んだことは、<世の中はかくもままならない>と<この呪縛から逃れるためにも、できるだけ早く自立する>ということ(笑)。だから起業というと大袈裟なようですが、僕にとっては自然な選択だったのです」

高校3年生の頃の愛読書は、ビジネス書。

「実は、高校時代に停学処分を受けたことがあり、担任の先生から「おまえには、大学推薦はやらない」と言われ、「誰がもらうか、受験で入ってやるわ!」と啖呵を切り、外部受験をしたんです。周りの友達はエスカレーターで大学入学が決まっていたため、遊びんでいるわけですね。そんな中での受験勉強はとにかく辛くて、悔しかったです。だから、受験が終わったら自分のやりたいことをとにかく端からやろうと……そこで自分のやりたいこと=商売だと気付いたんです。その頃買った本は『100万円でできる個人輸入』といったようなタイトルの本(笑)、受験勉強の合間にそういった本を読むことがいい息抜きとなりました」

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ビジネスの鉄則は、“考えるより、まず実行”。大学の入学式から始まった学生時代のビジネス遍歴

2法学部と商学部の2学部を受験し、両学部とも合格。現在の堀さんの仕事を考えると商学部出身と思われがちだが、選んだのは意外にも法学部だった。そして、自分の入学式が、起業家としてのデビューの日ともなった。

「晴れて受験が終わり、やりたかった“商売”を実践できるとなった時に、入学式というトピックスに目を付けました。まず、入学式が学生にとってどんな日か、それは自分の記念すべきお祝いの日である。商いの面からみると、人が一堂に会する日=お金が動く。では、そこで何をするかを考えた時に、広告スポンサーを募って、わずか2ヶ月足らずで学生向けのフリーペーパーを作りました。それを皮切りに、その当時流行っていたことですが、スポンサーをつけて、クラブでパーティーを行ったりもしました。変わったところでは、須磨海岸の海の家を、企業のセールスプロモーションの場として活用したこともありました。他には人材派遣のようなことをしたり、大手飲料メーカーと一緒に新製品のマーケティングリサーチをしたこともあります。このように、学生時代は、部活やサークルに所属せずにビジネス一辺倒。当然学内で過ごす時間は少なく、友人の協力なしでは卒業できませんでしたね(笑)」

考えたことをそのままで終わらせない、行動に移すことこそがビジネスのスタートライン。

「子どもの頃は、伯父に「何でおまえは行動する前に10秒考えてからせえへんねん」と叱られたほど(笑)、せっかちでした。だから瞬発力には自信があります。様々な人と話して常に感じることは、“誰もがそれぞれ何かを考えている”ということ。自分のこと、会社のこと、政治のことなど、「こうしたらいい、ああなったらいい」と考えることは誰もがやっている。でも、ただ考えているだけでは何も変わりません。僕は貧乏性なのか、損をするのがいやなのか、考えることに労力を使ってその時間が無駄になるくらいなら、とにかく“やってみる”主義。この最初の一歩が大切。やってみて→結果を見て→再検討して→また新しいやりかたをもう一度やってみる。これは、ビジネスの鉄則ですね」

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ビジネスの精神は、まさに<Mastery for Service>

一人でも多くの人から「ありがとう」を引き出すことが、成功の秘訣。

「よくビジネスの発想はどこからくるのか聞かれますが、誰でも毎日生活をしていて「こんなことがあったらいいのになぁ」と思うことがありますよね。基本はそうしたことに気付くことです。そして、その気付きをいかにビジネスモデルにできるかどうか」

「僕の場合、様々なジャンルの仕事をしてきた中で、当然苦い思いをしたことも数多くありました。その経験を重ねることこそが、より完成度の高いビジネスモデルをつくる力となるわけです。物事は結局、思惑と思惑が合致しないと動きません。世の中のメカニズムを理解し、互いの叶えたいことが何かを探る。そこに組織や人が動く原則があります。サイバードが今手がけているプロジェクトにおいて、まさにその原則を具現化。広告スポンサーにとっては最強のマーケティングプラットホームとなり、エンドユーザーにとっては毎日の生活がハッピーで便利になる情報が手に入る。そこに、組織や人が求める本質があるのです、自分たちのエゴだけではビジネスは成り立ちません」

「殺伐とした現代において、一人でも多くの人に“ありがとう”と思ってもらい、それが会社の企業価値となるような善意で生きられる世の中の仕組みを誰かが作らなければならない。この理屈をベースにしながらも、ちゃんと利益をあげられるようにモバイルを使った産業革命を起こす。そして、最終的には22世紀の世界史の教科書に載ることが僕の夢です(笑)」

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座右の銘は「百里の道も九十九里をもって半ばとせよ」。夢を叶える人とそうでない人の違いは、日々の小さな努力にあり。

大学の入学式で最初のビジネスを初めてから、20余年。今、堀さんが改めて起業家として大切な要素と考えること、起業家を目指す若者へのアドバイス、さらには大学と学生の在り方についても伺った。

「“心配するな明日は今日よりきっと悪い日だ”“最悪より最悪はけっこうすぐにやってくる”……有名なマーフィーの法則ですが、本当にその通りだと思いますね(笑)。ビジネスにおいて一回で成功することはなく、サイバードにおいてもトホホという出来事は何度かありました。 そんな時にどれだけ“打たれ強いか”ということは、起業家に必要な素養です。物事が滞った時にも踏ん張れる底力は、自分が何を実現したいためにやっているかという目的意識にあります。それを見失わずに、努力を惜しまないこと。基本的なことかもしれませんが……。今、改めて思うことは、「おぉ、凄い」と思うことは僕にも何年かに一回しかありません。その何年かに一度の凄いことの合間を埋める小さな努力を積み重ねていると、その小さなことの中に“瓢箪から駒”とも言うべき、もの凄く大きなことが隠れています。環境や運の差もありますが、人の違いというものは、この日々の小さな努力を続けるか、それとも途中でやめてしまうかということでしかありません」

変化を起こすことを恐れない。現代の大学教育において学校側は制度を、生徒は意識を改革することが必要。

「会社を経営していて一番難しいことは、変化を起こすことです。社内で今まであったルールを変えると、関係各所の担当者の顔が浮かび、それぞれの立場を考えてしまうと結局は何も動かせなくなってしまうものです。だから僕の場合、思い立ったらすぐにやってみるのですが(笑)。学校というのは、人をお預かりして教育する機関ですから、世界で一番“間違ったことをしてはいけない組織”ですよね、だからなおさら様々な変化を起こしにくい……。とはいえ、関学の場合はあくまでも私学なわけですから、もっと学校側からユニークな仕掛けをしてもいいのではないでしょうか」

「学生に対して言えることは、もっと“遊べ”ということ。僕の言う遊びとは、神戸一円のクラブで顔パスになることではなく、人が考えつかないような遊びをするということです。学生時代の友人に、在学中にヘリコプターの免許を取得したやつがいました。皆が車の免許を取ることに夢中になっている時に、彼はまず車の免許を取って両親から買ってもらった車を売り、その資金をヘリの免許へ当てたんです。そいつは、やっぱり魅力的な人物でした。今の若者は、すぐに「そんなお金のかかることはできない」というでしょ。お金は知恵でなんとでもなります、方法論をとことん調べれば、できる道は必ず見つかるはずです。また、オペラが好きな人ならオペラについてとことん勉強する、ギターが好きな人ならとことん練習するなど、そうした趣味を極めることも全て遊びの一つ。ポケットをいっぱいにして、自分自身が魅力的な人になれば、自然と周りに魅力的な人が集まり、しいては自分の夢ややりたいことが見つかるはずです」

【PROFILE】
堀 主知ロバートさん

(ほり かずともロバート)
1965年米国ワシントンDC生まれ。関西学院大学法学部卒業後、ロンドンへ留学。1994年、会員制インターネットポータルサイト運営を手掛ける株式会社パラダイスウェブを設立、代表取締役に就任。1998年、モバイルコンテンツ及びソリューションの提供などを行う株式会社サイバードを設立、代表取締役社長に就任。2005年6月、同代表取締役会長に就任。  
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