 |

健康生き生き
 |
vol.3
補完・代替医療は効くか
大井 玄
前回、東洋医学やホメオパシーなどが補完・代替医学(Complimentary alternative medicine,
CAM)と総称されていると書きました。実は、CAMは現代医学と共に「総合医学」として再編される機運が強くなってきています。アメリカの医学校では、すでに大多数がCAMを取り入れている現状です。
しかし、最近ある人から「漢方って効くんですか。漢方薬は副作用は少ないけれど効力もすくないのではありませんか」と、率直な質問を受けました。
わたしは東洋医学の専門的訓練を受けたこともありませんし、漢方の全容について発言する資格はとうていありません。したがって、東京大学病院の「東洋医学外来」で漢方診療を行っている岡部哲郎先生が報告された驚くべき事例を紹介しましょう。
まず、肝硬変と肝細胞がんの61歳男性。腹部超音波検査で2cmの肝がんが現れたので入院治療を予約したが、1ヵ月間余裕があるので漢方薬{桃紅四物湯加味}を服用してもらいました。ところが入院時CTなどで精密検査をしましたが腫瘍は消失していました。しかし3ヵ月後肝臓の別の場所に1.5㎝のがんができたので同様に漢方治療をしたところ、やはり1ヵ月後には消失し、患者さんは5年後の現在も健在です。
次は、74歳の男性で手足の血流がわるくなり、手指の組織が死に始め、腐り始めたもの{壊死}。両手指の激痛、足のむくみと痛みで物療内科に緊急入院し、循環を良くするため神経をブロックする処置を行ったが改善しません。両方の人差し指と中指の壊死はそのまま放置しておくと進行するので、外科的に手指を切断することを検討しました。たまたまこの方が岡部医師の親戚だったところから、許可を得て漢方薬を処方したところ、腐った組織がくずれた後、新しい組織が形成され、現在も健在です。
その他、全身にできた無数の神経の腫瘍(レックリングハウゼン氏病)が漢方で消失するなど劇的な話があります。
以上の事例は、わたしたちが学んできた「現代医学」の常識では考えられない奇跡と申せましょう。しかし、すでに数年前からアメリカの医学研究費のトップは「補完・代替医学」に取って代わられたと伝えられています。
自分が学んだ科学的な「常識」にとらわれず「治る医療」を求めないと、また黒船でアメリカから漢方を逆輸入する破目になると、自戒しております。
|
|
|
|
|