vol.0
ご挨拶
医師 大井 玄
皆さまこんにちは。これからしばらくの間KG-TOKYO.COMのページで皆さまが関心をお持ちの健康問題について相談相手をさせていただきます。
私は今までに臨床医学、公衆衛生、環境医学などの分野に係わってきましたが、現在世界は歴史的意味で医療の混乱期にあり、かつ再編成の時期であるように見えます。
なぜ「混乱期」なのでしょうか。それは「現代医学」が本来的な意味での「医療」を代表できなくなったからだと思います。
その原因は様々ですが、特に大きなものは、医科学の進歩と展開により生みだされる情報量が急速に増加するにつれて、これまでの一分野がとめどもなく細分化され、専門化されてきており、医師が一介の医療技術者になりつつあることです。たとえば三十年前の「内科学」は現在、数え方によっては十数から三十位の分野にわたる専門内科に分けることができますし、医師同志の意思疎通さえむずかしくなりつつあります。
たとえば、総合病院の肝臓病の専門家は、そこで診る老人患者がかかえているもう一つの問題である「軽度の痴呆」には対応できません。そこで、老人は大きなストレスのかかる治療を強行され、せん妄状態になって妄想が出て騒ぐのです。その結果、彼はベッドに抑制され、廃人のようになってしまいます。
つまり現代医学が分化すればするほど、分野と分野との間の空隙が大きくなりつつあります。そのすき間を埋めてくれる補完・代替医療(漢方や民間療法)が求められる理由がここにあります。
当相談コラムでは、皆さまの要望に応じて、しかもすき間のない「統合医療」の立場から心身の問題を取り上げていきたいと思います。
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