A…KG編集部
B…ゲストOB、OG
A:在学中から絵を描く仕事をするつもりだったのですか?
B:いいえ。全然画家になれると思っていませんでした。趣味で絵を描いて、コンテストに応募したりはしていましたけど。卒業後は、(株)大月真珠に勤務しました。よく“宝石のデザインをしていたの?”
ときかれますが、ごく普通に総務で事務の仕事をするOL生活を送っていました。この会社に決めた理由としては、宝石が好き、6月生まれなので誕生石の真珠が好きと
いうようなところです。またデザインやファッション系の仕事もしてみたいなという憧れや
神戸のポートアイランドで働きたいとか(笑)あの時代はそういう憧れもありましたね。
A:入社後、27歳の時に退社されていますが、その時はどんな状況だったのでしょうか?
B:仕事を辞める時、妹に話をしたら“バカ”とまで言われました(笑)別
に仕事をやめても、何かあるわけでもなかったですし。画家の仕事ができる保証もありませんでした。ただ絵が描きたかったし、このままモヤモヤした思いを引きずるのはいやだと思って辞めました。
仕事をしていた時も、絵を描きたくて、帰宅途中の電車の中でもやっと絵が描けると思うとドキドキして。有給休暇も全部絵を描く為に使いました。あまりにも家で一人絵を描いているので、親にどうしてもっと外で遊ばないのと叱られたこともあるぐらいです。そんな時は泣きながら絵を描いたこともありましたね。そのうち、会社で仕事していることが嫌になってきたんです。仕事よりも絵を描きたいという想いが強くなって。
今は“本当に幸せ”です。好きなことをやっていてそれが他人に感謝されることは
本当に嬉しいことです 。
A:退社後はどうされたのですか?
B:コンテストに作品を6年間出品しつづけて、もうプロになれますという意味で「卒業」認定をいただきました。でも他に仕事があるわけでもなく、何かが待っているわけでもありませんでした。
退社後、3ヶ月間、退職金でヨーロッパへ旅行に行きました。その後集英社の編集者の方に絵を見てもらえる機会があり、そこで気に入ってもらえた作家さんの本のカバーの挿画を書くようになりました。そして仕事上、東京の方が編集社との仕事がしやすいという事で、31歳で初めて東京で一人暮しを始めました。営業、作成、宣伝全て自分一人でやらなくてはいけませんでした
。
A:いつ頃から絵を描いていたのですか?
?
B:生まれた時から(笑)趣味でずっと絵を描いていました。普通
は画家志望であれば美大を受験したりするのですが、私は習った事がないので、デッサンなんかも経験がありません。大変めずらしいタイプになりますね。
A:どのジャンルの絵になるのですか?
B:アクリル絵具でキャンバスに描きます。ジャンルは特にないですね。色は何色も重ねます。油絵とは違い乾きも早いです。。
A:どれくらいのペースで描くのですか?
?
B:すごく早いです。イメージが湧くので、描くのが早く描き始めたら迷いません。頭にイメージがあるので色も迷いません。逆にイメージがいくつも湧いてくるのでどれにしようか悩むほどです(笑)。
個展は今度で23回目になりますが、1回につき20から30作品を出します。現在作品数はたぶん全部で200〜300ぐらいです。
A:その溢れ出るアイデアはどこから来るのですか?
B:本や映画など日常生活の出来事からどんどんアイデアや詩が浮かびます。そう、それからお菓子が大好きなんです!雑誌などから色々な情報を集めて、食べたい!と思うお菓子を見つけたら1人でも食べに行くんです。友人からは“TVチャンピオン ○○選手権”に出れるくらいお菓子に詳しいと言われてるんですよ(笑)お菓子は毎日食べます。
お菓子の絵も描くのですが、描いたお菓子の絵をシェフに気に入っていただいて店内に飾って頂いています。
(そのうちいくつかの作品は、テオブロマ広尾店 東京都港区南麻布5-16-13にあります。)
A:今までに “挫折”されたことはないのですか?今までの発言には一言もでてこないのですが。
B:好きな絵を描いているので、本当に幸せです。周りからはいつかはスランプがくるとか言わ
れるのですが(笑)、今までスランプを経験したことがないんです。あえていうとすれば、
美大を出てないので描きたいものが思い浮かんでも独学ゆえにデッサン力が弱いので表現できない
悔しさはありますが。でも、いつもアイデアが溢れ出てきて、描きたいものが、どんどん浮かんでくるんです。構図が思い付くし、色を塗るという行為も好きです。個展で沢山の人に見てもらえる事も本当に嬉しいです。
A:スゴイ…。天性ですね…。(感心してしまいました…)
A:では樋上さんにとっての夢、今後の目標は何ですか?
B:死ぬまで絵を描いていたいです。絵を描く時は、絵に自分が全て反映されてしまうので、毎日キレイでいたいと思います。不満や嫌な感情は絵に出したくないんです。常に澄んだ絵を描きたいです。
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