毎月開催してきた三日月会はコロナ禍のなかで2020年2月の開催を最後に、急速な感染拡大のあおりを受け、お休みをいただいておりました。この度、初めての試みとしてZoomソフトを使ってのリモート講演会形式で再開いたしました。できるだけ多くの方にご参加いただきたいということで土曜日の開催を決め、講師にはおなじみの池田裕子学院史編纂室専任主管にお願いすることになり、『関西学院の真実:没後100年を迎える創立者ランバス博士(以下敬称略)の実像を探る』と題してお話を伺いました。
54名ものみなさまにご参加いただきました。まことに有難うございました。リモートを通 して午後2時過ぎから懐かしい顔が揃って、久しぶりの挨拶から楽しく歓談しながら2時半の開会を待ちました。高田副支部長の司会進行で開会、三日月会初お目見えの谷口義弘支部長のご挨拶に続き、講演が開始されました。
【ご講演の概要】
今年は創立者ランバス(1854-1921)の没後100年の年にあたります。関学132年の歴史の中の膨大な資料を通して見えたランバスの実像について語っていただきました。写真も多数見せていただきより身近に感じることができました。
ランバスは南メソヂスト監督教会の宣教師として1886年に来日。1889年に関学を創立、1890年に帰国。日本にはわずか4年の滞在で、院長としては1年3ヶ月の在任でした。その間に関西学院、パルモア学院、広島女学院の創立に関わり、13もの教会を創立するという偉業をなしとげました。1890年の神戸でのランバス・ファミリーの写真が残っており、ランバス夫妻のほか両親、妹夫婦、弟夫婦、それぞれの子供達が写っています。その後、世界各地で伝道活動を続け、31年後の1921年8月末、教会の会議のために来日。軽井沢のユニオン チャーチでの会議中に発病し、長時間(恐らく8時間余り)の移動に耐えて横浜総合病院に入院、手術を受け、その後一時小康を得ましたが、9月26日に病没しました。遺骨は10月1日に関学へ。原田の森の神学館に安置されました。葬儀は関学(今も創立の地に現存するチャペル)と上海で。遺髪は原田の森の中央講堂の礎石に納められました。パルモア学院で保管されていた遺髪は、現在、学院史編纂室で保管されています。遺骨は生まれ育った上海にある、母と同じ墓地に埋葬されました。ちなみに、父のJ.W.ランバスは1892年に亡くなり、神戸の小野浜墓地に埋葬されました。現在は、神戸市立外国人墓地に眠っています。ファミリーの子孫が来日したときは墓前礼拝を行っています。2016年に玄孫(妹のひ孫)が来日したときは、神戸栄光教会から60人が参列しました。池田さんは、現存する軽井沢の教会、横浜の病院跡なども訪問されております。
ランバスの人となりについては、人種・国籍・宗教の区別なく、すべての人を愛した世界全体の市民だった(ニュートン院長)、ユーモアが重荷を背負った精神を鼓舞した(ランバス伝著者)、決して人を見捨てることなくあらゆる親切を尽くした(通訳鈴木愿太)と語られています。
ランバスには3人の子供がいましたが、日本で生まれた次男は早世。長女に子供はなく、孫としては長男の娘のみです。中国で生まれ、日本で育った長男はダートマス大学の教授になり、著したライティングの本は名著で、池田さんも参考にされているとか。唯一の孫娘は子供に恵まれなかったので直系の子孫は孫の代で絶えました。
関学では周年事業として年史や図録が発行されています。百周年の前には、関学に関する 資料をアメリカやカナダで収集されました。その資料のなかから池田さんが興味を持たれた のは、ランバス大学の記事です。ランバス監督の孫の孫が大学を訪ねてきたとのことだった ので、本人を探し出して確認したところ、正しく創立者の甥のひ孫(ジョン・ルイスさん)だということがわかりました。ランバスの父は10人兄弟で、さらに義理の兄弟が5人いたので、アメリカには大変な数のランバス・ファミリーがいるのです。ファミリーの故郷ミシシッ ピー州の教会(パールリバー・チャーチ)の写真があります。ここでは毎年10月の第一木曜日に、ファミリーの働きを偲んでランバスデーの礼拝がおこなわれています。ジョンさんは日本に来たことがないのに、子供の頃から日本や関学のことを聞かされて育ったそうです。
海外で活動したファミリーを支えたのは、地元に残ったファミリーだったのです。かれらが、お金をつくって中国や日本に送ってくれたお陰で関学の今があると言えます。地元ではそれが語り継がれています。
1949年のランバス・ファミリーの写真もありました。ランバス一族の特徴は、耳が宇宙人のように立っていて大きく開いていることだそうです。ランバス生誕150周年(2004年)のと き、理事長、院長、学長がランバス・ファミリーの母教会を訪ね、池田さんも同行されました。そこには、ランバス一家の働きを顕彰した記念碑があり、創立者に対しては、「世界市民、そして世界各地へのキリストの使徒」という言葉が刻まれていました。
ランバスは中国上海で生まれ、初めてアメリカの土を踏んだのは5歳のときで、中国語の名前も持っていました。日本に初めて来たときは漢字が通じるので喜んだそうです。日本語学習には有利だったのでしょう。書き留めた日本語をすぐに使うのを徹底したようです。通訳が最初の日本語の先生でした。
日本では大阪商船会社の瀬戸内航路や官設鉄道を利用して伝道に力を注ぎました。離日後、伝道局の主事からブラジル伝道、アフリカ開拓伝道、最後は外国伝道局の責任者となり、その仕事で日本を訪問中に亡くなりました。
今回のご講演では、池田学院史編纂室専任主管の豊富な資料と実際に現地に足を運ばれるなど綿密な調査で、私たちは、創立者ランバス博士とそのファミリーまでを含んだ生涯をたどることができました。初めてお人柄にふれることができたような気がします。またとない機会をありがとうございました。銀座ホールの壁に村上剛康さん(1979年卒)による見事な肖像画がかけられています。銀座オフィスに行かれたときはぜひごらんください。いままでとは違ってみえるのではないでしょうか。
【以下ご案内文です】
三日月会2021年7月度例会のご案内
みなさまお待たせいたしました。
三日月会2021年7月度例会は、三日月会講師として毎年ご出講いただき最も人気の高い 池田裕子(いけだゆうこ)学院史編纂室専任主管をお迎えし、下記内容にてリモート講演会と言う新たな形で、例会を再開いたします。
1889 年に関西学院を創立したアメリカ人宣教師W. R. ランバス先生は、1921年9月26日に横浜で亡くなりました。創立者ランバス先生の没後100年を記念して、池田様自身が資料を通して出会ったランバス先生とその家族、資料がご縁となって始まったランバス家ゆかりのアメリカ人との交流、さらに、32歳で来日したランバス先生がどうやって日本語を学んだか、開通間もない官設鉄道や瀬戸内航路をどのように伝道活動に活かしたかについて、学院史編纂室の資料を使ってその実像に迫っていただきたいと思います。乞うご期待!
記
日 時:2021年7月17日(土曜日)14時30分~15時45分
【14:00から三日月会に参加可能】
開催方法:Zoomソフトを使ってリモート形式で行います
参加費:無料
講 師:池田(旧姓:村瀬) 裕子氏
1980年:関西学院大学商部卒業後、学校法人関西学院に就職
理学部、総務部システム課、大学図書館閲覧課、国際交流課、経済学部を経て
現在:関西学院大学 学院史編纂室専任主管、関西日本ラトビア協会常務理事
趣味:ガーデニング、ラトビア語
タイトル:『関西学院の真実:没後100年を迎える創立者ランバスの実像を探る』
*申込締切 2021年7月13日(火)(締切厳守)です。
参加人数に制限がございますので、以下手順にてホームページからお早めにお申込み下さい。
ホームページからの申し込み方法:
- 関西学院同窓会東京支部のホームページ http://www.kg-tokyo.com/blog/ の『会員マイページ』をクリック
- 『会員ページはコチラ』をクリック
- ログイン画面がでるので、関西学院同窓会東京支部の会員IDとパスワードを入力してログイン
- ログインして開催中イベント一覧がでたら、三日月会のイベント申し込みをする
- 申し込みが成立すれば申し込み完了メールが届きます
尚、同窓会東京支部のkg_tokyo_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無いようにお願い申し上げます。
Zoomによるミーティングへの参加手順(初めてZoomを使用される方):
- Zoomソフトは、カメラとマイクとスピーカーのついたパソコンまたはスマホやタブレットなどの機器を使用して、オンラインでセミナーや会議を開催するために開発されたアプリケーションソフトです。スマホは画面が小さいため使いづらいので、可能であればパソコンがお薦めです。
- 参加申し込みされた方に、メールで前日の7月16日にZoomによる三日月会例会参加の招待状を送らせていただきます。
- 講演会当日午後2時以降に招待状の中に「Zoomミーティングに参加する」の下にあるアクセスアドレス(URL https://zoom.us~ )をクリックしてください。
- 画面が表示され、最下段にある「今すぐダウンロードする」を選択します。
- ダウンロードされたファイルが左下に表示されます。これを選択(左クリック)します。Zoomのインストールが終了するまでそのままお待ちください。インストールが終わったら「ミーティングを起動」をクリックしてください。
- 次にZoomで使用する名前を入力する画面になります。漢字で姓、名を入力する。「将来のミーティングのためにこの名前を記憶する」にレ点チェックを入れる。次回から省略できます。入力後「ミーティングに参加」を選択します。
- 次の画面で「ビデオを付きで参加」を選択すると、三日月会運営ホスト(主催者)宛にリクエストが発信され、「ミーティングのホストは間もなくミーティングへの参加を許可します、もうしばらくお待ちください。」と表示され、ホストの許可を待ちます。
- ホストが許可すると「どのようにオーディオ会議に参加しますか?」の画面が表示され、「コンピューターでオーディオに参加」を選択します。ミーティングへの接続時に、自動的にコンピューターでオーディオに接続するにレ点チェックを入れておくと次回から省略できます。
- 以上の操作で参加(Zoomでは入室と言います)できます。当日は午後2時から入室できます。
(Zoomでの参加経験のある方)
- 参加申し込みされた方に、メールで前日の7月16日にZoomによる三日月会例会参加の招待状を送らせていただきます。
- 講演会当日午後2時以降に招待状の中に「Zoomミーティングに参加する」の下にあるアクセスアドレス(URL https://zoom.us~ )をクリックしてください。
- 次に、「Zoom Meeting を開く」をもう一度クリック
- 三日月会運営ホスト(主催者)宛にリクエストが発信され、「ミーティングのホストは間もなくミーティングへの参加を許可します、もうしばらくお待ちください。」と表示され、ホストの許可を待ちます。
- ホストが許可すると「どのようにオーディオ会議に参加しますか?」の画面が表示され、「コンピューターでオーディオに参加」を選択します。前回レ点チェックが入っていると省略される。
- 以上の操作で参加(Zoomでは入室と言います)できます。当日は午後2時から入室できます。
*お問合わせ先:東京支部 TEL 03-6260-6277
【次回予告】決まり次第ご連絡申し上げます。
以上