川柳サロン 10月例会 お題「晴れる」+雑詠1句
10月13日(火)東京オフィス 出席4名、欠席投句5名
津田先生◎or〇 会員よりの得点数 +数字 コメントは津田先生のオンラインでのコメントです。
◎+5 晴れた空ハワイ航路は今空路 (惠子 )「♪ 憧れのハワイ航路」の航を空に上手く置き換えて韻も上手く踏んでいる。
◎+0 長く続いた黒い雨にも晴れ間見え (純逸) 広島の被爆者黒い雨訴訟を地裁が認め、市と県は控訴したが国の補償地域拡大が前提。少し晴れ間が。
〇+5 言い返し心晴れても残る悔い (勝弘 ) 言い返しでスッキリしても後であそこまで言わなくてもよかったと悔いることは誰にでもあり分かる。
〇+2 火の玉消え引退決意晴れ晴れと (達夫) 火の玉ストレートで鳴らした阪神藤川球児のいさぎよい引退。阪神ファンへ○。
〇+0 快晴の死角に潜むコロナ二波 (勝次)トラベルやイートなどのGoToキャンペーン、快晴で人出も増え二波が心配。そんな思いが伝わる。
〇+0 すっぴんの地肌を見せて月冴える (敬 三)ウサギが餅を搗いているのではなく、スッピンの地肌と現実的に見たところが逆に面白い。
「今月の学習」
1.大空をキャンバスにして飛行雲 (敬三)明るい光景が浮かんでくる。「飛行雲」は俳句では結社名にもある。夏井いつきは下六でも「機」は必要。
2.天高くもみじ輝く芋煮会 (達夫)光景は浮かぶが中七が平凡。今年を詠んで「天高くドライブスルー芋煮会」
3.虹が出て何故か幸せ笑顔出る (達夫)気持ちは分かるが「出て」「出る」などくどい感じ。「幸せな気分にさせてくれる虹」だけでも通じる。
4.執念が冤罪晴らし白髪増え (勝弘) 句意は結構だが流れがやや説明報告調。「執念で白髪が冤罪を晴らし」
5.異常なし梅雨空晴れて深呼吸 (淑子) 再検結果か。思いは分かるが語順を替えて「異常なしに深呼吸する梅雨も明け」 編集注:(本人の弁)健康診断で再検査だったが、「異常なし」で、梅雨空のような気分も晴れたということ。
6.マイホーム見晴らし良の崖っぷち (勝弘)「…見晴らし良が…」は「…見晴らし良いが…」としたい。だだし「見晴らし」はお題の「晴れる」ではない。
7.晴れて結婚旅行は出来ず式もなし (純逸)コロナ禍で気の毒なカップルが多いが、その背景が欲しい。「晴れて結婚式も旅行もコロナ消し」
8.雨雲の上は燦さん晴れてるぞ (たけお)思いは分かる気がするが燦燦と晴が重なる。「雨雲の上は燦燦諦めぬ」など意志を表したい。
9. 秋日和ポチに散歩を促され ( 敬 三)情況は分かるが「秋日和」が動くとも取れる。例えば「梅雨最中ポチに散歩を促され」
10.晴れやかな成人式が酒乱会 (惠子)成人式で酒を飲んで暴れる事例が過去にもあり分かるが、下五は「酒乱式」が合う。
11・長梅雨が明けたら酷暑蝉が泣く (純 逸)「」としたところがミソ。「蟬も泣く」とすれば誤解は受け難くなる鳴く」を「泣く。
12.太陽のテナー朗々雲払い (淑子) オー・ソレ・ミオか、やや流れがスッキリしない。「テナー朗々太陽へ嵐去り」 :(編集注):「太陽のテナー」はテノール歌手パヴァロッティのことで、今映画が上映されている。「歌と人生で世界を照らした人」
13.晴れ予報はずれ雨でもお詫びなし (たけお) 確かにそうで結構だがよく詠まれる句材でもある。雨の句だが上五で課題には適っている。
14.いつ晴れるマスクが友のコロナ雨 (勝次) 晴れるのは雨でなく気分に。友と言うよりは「コロナ禍のマスクの鬱は何時晴れる」
15.晴れたらジャジル音声を運動会 (睦夫) ジャジルは有名だった米国の競走馬。運動会に合うBGMなどががあるのかも。やや分かり難い。
16.浴びる陽の歩行器母の骨密度 (勝次)骨密度には日光浴と散歩が欠かせない。句意は結構だが上五を替えて「陽を浴びる歩行器母の骨密度」
17. 朝明けの潮流出でて残照に ( 睦夫)事の始まりからその流れを経て終焉に、そんな情景が太陽の動きに喩えられていると感じさせる。
18.心晴れ血圧下がる仲直り ( 淑子) 五七五が全て結果であり、因果関係が何なのかが分からない。「血圧も元へ妻との仲直り」
19.秋晴れも長雨あとが金メダル (たけお) 同じ秋晴れでも長雨が続いた後のが最高ということか。金メダルの使い方が気になる。
「雑詠」
津田先生◎or〇
◎+2 クマモンが翔猿まいて初賜杯 (睦夫)熊本県で初の優勝、くまモンに喩えて上手く詠んでいる。
〇+2 横綱は有給休暇多すぎる ( 敬三)連続休場にも上限はない。本人が決めるか勧告を受けて決めるか。稀勢の里の連続8場所が最高。
〇+0 病室を笑いで満たす隠し芸 (惠子)同じ病室に隠し芸の得意な人がいて皆を楽しませてくれる。面会禁止の入院患者は辛いので助かる。
添削
1.ハンコやめ決めた書類にハンコ押す ( 純逸)リフレインで皮肉を効かせて良いが、上五と中七の繋がりが悪い。「印止めると決めた書類に印を押し」
2.ワーケイションなんでそこまで仕事する ( 達夫) 働いている時でも休暇が取れるので、そこまでという感じはしないのだが…。
3.健康を隠し話の輪に入る ( 勝弘)「健康を隠し」が気に掛かる。「体調を隠し」の方がよい。
4.日が落ちて化粧はじめるズーム呑み ( 淑子) Zoomでの飲み会か。自粛なので朝の化粧は不要。上五は「夜になり」の方が分かり易い。
5.二世よりしつこさ売りだたたき上げ ( たけお) 安倍前総理に比べてということであろうが「…しつこさ売りの…」としたい。
6.モリカケサクラ疑惑を蓋に幕を閉じ ( 勝次) 安倍前総理の事だが「疑惑を蓋に」がおかしい。「疑惑に蓋を」にする。
次回 お題「岩」
令和2年11月10日(火)銀座オフィス 現在例会は毎月第2火曜日14時から16時です。
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川柳に興味をお持ちの方 是非見学にお越しください。
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指導は著名な津田暹(すすむ)先生。全日本川柳協会元理事、雑誌「川柳研究」元編集長及び発行人。
現在世話役 石田達夫(s45)
メンバー 男7名、女性2名