川柳サロン7月例会 お題「指」+雑詠1句
7月14日(火)東京オフィス 出席6名、欠席投句2名
津田先生◎or〇 会員よりの得点数 +数字 コメントは津田先生のオンラインでのコメントです。
◎+4 指先がアル中になる消毒器(敬三)(今回の最高点)確かに。固定式の消毒器もあるが一般的にはスプレー式容器。擬人化で→「指先をアル中にする消毒器」又は「器」を避け「指先が消毒液でアル中に」
◎+1 モーパイが老化予防の役に立ち(淑子)お年寄りに麻雀が流行っている。テンピンとは無関係なボケ防止で、確かにモーパイは効果的かも。指を詠まずに指が主役になっている。
〇+4 指切りに針を何本飲んだやら(惠子)1回守らなかったら千本、考えると恐ろしい数に。胃はハリネズミ状態。反省も感じられる。
〇+2 彼としたエアー指切り空手形(純逸)コロナで流行りのエアータッチを指切りに持って来て面白い。針千本もエアーに呑ませるか。「エアー」と「空」の掛詞。
〇+2 コロナ禍は手話ができればなんのその(淑子) 確かに。成程という見付で結構。三密も何のその。
〇+2 一瞬の指のふれあい導火線(淑子) 今ではこれさえもセクハラに。かつての青春時代には経験された方も多かろう。ピリピリ感が「一瞬」と「導火線」で伝わってくる。
〇+1 薬指いつも出会いを待っている(惠子) この薬指は右手と分かる。恋人募集中のサインの指輪、切なさが伝わる。
〇+1 指認証エラー続いてなお焦る(達夫)指紋認証はいろいろ普及しているが身近ではスマホ。汚れなどでエラーに。急ぐ時に焦る気持ちが伝わる。
「今月の学習」
1. 退院を指折り数え妻の味(勝次)思いは良く分かるが下5への繋がりがやや曖昧。指を数えるのは退院日か妻の味かをハッキリさせて「退院へ指折って待つ妻の味」
2. 孫と散歩小指を握る小さな手(勝次)孫の句はデレデレ感が強くなり詠むなとも言われるが、可愛らしい感じは伝わってくる。やや説明し過ぎの感があるので「散歩中孫は小指を握り締め」
3. 絶好調カラオケマイク小指立て(勝弘)情況は分かるが三段切れが気になる。→「カラオケの立てた小指が酔いしれる」
4. リタイアー水虫までもどこへやら(たけお) 靴を履かなくなったからか。親しんできたものが離れてゆく中に水虫を持ってきたのは良いが。「リタイアー」は「リタイア」。お題の「指」は間接的に伝わる。→「リタイアへ水虫までが遠ざかる」
5. 足の指爪切る時だけかまわれて(たけお)確かにそうで視点は結構だが中8.せっかくの擬人法を諦めて「爪切る時だけかまう足の指」。それにしても足の指、特に小指の爪の退化は凄い。
6. エレベーター指の代わりにつまようじ(純逸) 実際そうしている人もいて結構だが、今だから分かる。何故かの背景を入れて「エレベーター指を楊枝にコロナさせ」
7. ビギナーが指につばつけ風を読む(勝弘) 一人前の顔をしたがる。句意は結構だが「、、が」が報告的。擬人化して「唾つけてビギナーの指風を読み」
8.美女見れば先ず確かめる薬指(敬三)9番の句のように薬指でも左右で異なる。原句も左右を確かめるという意味なのであろうが、ハッキリと「気に掛かる美女の指輪の右左」
9. 初心者が指折り数え五七五(勝弘) 報告句に終わってしまった。省略と追加をして「指折りの作句お陰で呆け知らず」
10. 薬指の右か左か気にかかる(達夫) 結婚しているかどうかで対応が異なるのであろう。分かるが省略がややきついので「嵌めている左右気になる薬指」
11・ 指先が触れて恥じらう妻は喜寿(敬三) 喜寿を強調するなら原句のまま、そうした妻を強調するなら「指先が触れて恥じらう喜寿の妻」。何れにしてもご馳走様。
12. 成田にて指輪投げ捨て棄てられる(達夫)成田空港が出来たとき、成田離婚の句が流行った。報告句で下5は無くても中7で分かる。
13. 十万円指折り数えいつ入る(純逸) 未だの所も確かにあるが、そのままの感じ。せめて「もう幾つ指を折ったら給付金」
14. 川柳人指折りおかげボケしらず(たけお) 確かにそうだが6435と四段切れになっている。添削句は8番と同じ「指折りの作句お陰で呆け知らず」
15.いい顔してる納棺顔をそっと撫で(勝次)納棺時の最後の別れの光景で結構だが、「顔」の重なりや上句と下句の繋がりが気になる。→「納棺へきれいな顔をそっと撫で」
16.指ファミリー両手広げて三世代(惠子)面白い発想だが、具体的に左右の指の誰だかが浮かんでこない。
「雑詠」
津田先生◎or〇
〇+2 幻の東京五輪口つぐむ(勝弘)(今回の最高点)都知事選では論戦の一つに。今の状況では無理と思っている人が言えないでいるということか。「東京五輪無理と思うが言えずいる」
添削
1.アベノマスク寄贈品にて役目終え(達夫)メーカーによっては苦情も。実際の寄付は不要による善意が多い。
2.古稀なのに若返った五十肩(純逸)類想の多い句。このままでも結構だが「五十肩ですと言われて惑う古稀」。不惑なら惑わないのだが、、。
3.コロナ禍に花見を忘れ早や梅雨に(惠子)自粛で三か月がもう経ってしまったかという思いは分かるが、「忘れ」というよりは「コロナ禍へ花見せぬままもう梅雨に」
4.東京よりふるさと気になる感染数(たけお)確かにそうでよく分かるが中8。「ふるさとの方が気になる感染者」
5.コロナばかりのニュースを変えた世界一(勝次)世界一になったという明るいニュース。想いは分かるが具体的に「コロナばかりのニュース明るくする富岳」
6.春はあけぼの自粛は赤い花(淑子)79の字足らず。句意も今一つ掴めない。(編集注)本人の弁:「枕草紙」の「春はあけぼの」の部分はその時の一番良いことを詠んでいる。今はコロナ自粛中なので、こういう時は「赤い花」を見ると元気が出て良いと詠んでいる。
7.無観客茶の間のファン騒がしい(敬三)「ファン」は2音で中6.3音の「フアン」も生き延びてはいるが「ファン」を活かして「お茶の間のファン騒がしい無観客」。10日からは制限付き観客有に。
次回 お題「熱い」
令和2年8月11日(火)銀座オフィス 例会開始前に打ち合わせが有りますので、14時から16時45分。
例会は、通常、毎月第2火曜日14時45分から16時45分です。
入会者募集中!
川柳に興味をお持ちの方 是非見学にお越しください。
ご見学・ご入会等のお問い合わせは、同窓会東京支部( kg_tokyo_soumu@yahoo.co.jp )にお問い合わせください。
指導は著名な津田暹(すすむ)先生。雑誌「川柳研究」元編集長及び発行人。
現在世話役 石田達夫(s45)
メンバー 男6名、女性2名。