川柳サロン6月オンライン句会 お題「暴れる」+雑詠1句
投句9名
津田先生◎or〇 会員よりの得点数 +数字 コメントは津田先生のオンラインでのコメントです。
◎+6 DVも増殖させる新コロナ(純逸)(今回の最高点)「暴れる」をDVで表し、新コロナの増殖と掛けた言葉選びが上手い。
◎+5 おとなしい孫は寝相で大暴れ(淑子)おとなしい孫が寝相で大暴れするという表現展開が、実際的でかつ意外性をもたらして佳い。
〇+4 匿名に隠れ暴言吐く輩(惠子)ネットによる誹謗中傷の酷さが社会問題になっている。ややストレートだが気持ちが伝わる。
〇+4 聞くたびに尾ひれが増える武勇伝(敬三)喧嘩で二人相手に勝ったが五人にまでなったとか。よくある話で頷ける。
〇+3 暴れても素知らぬ顔でツボ指圧(敬三) 状況はよく分かる。上五と助詞を替えて「藻掻いても素知らぬ顔のツボ指圧」
〇+2 政界に暴れん坊がいなくなり(達夫) 確かにハマコーのようないい意味での暴れん坊がいなくなり、口先ばかりがふえた。
〇+2 ニューノーマル地震雷火事コロナ(建夫) まさに新しい常識で結構だが、コロナが親父に替わる4番目では弱い。→「ニューノーマル地震雷よりコロナ」でも。
〇+1 幼子がよそ目味方に駄々こねる(勝弘)よく見られる可愛い「暴れる」。下五は「、、駄々をこね」でも。
〇+1 さあ飲むぞ成人式でひと暴れ(純逸)これから飲みだすとはましな成人。前からとっくに飲んでいる方が多いかも。
〇 ど突いては笑いを誘う漫才師(敬三)こうした漫才師は何組かいる。話術でないのであまり好きではないが、句としては分かる。
「今月の学習」
1. 台風一過青空映す暴れ川(達夫)台風が過ぎた直後の暴れ川の水量はまだ多く、茶色く濁っているのでは。
2. おもちゃ屋で駄々こねる子にまた負ける(達夫)「また負ける」に親馬鹿感がある。
3. 暴れ馬御して男は名前上げ(惠子)「暴れ馬」は本物か比喩か。何れにせよ「名前上げ」がやや大袈裟。→「じゃじゃ馬を御して男の威を保ち」などでも。
4. 甲子園中止の報に心荒れ(淑子) よく分かるが「心荒れ」が暴れるになるかどうか。→「甲子園中止へバット振り回す」
5. ウィルスが暴れて学ぶニューライフ(建夫)今までと違う生活習慣は確かに必要。このままでもよいが「何々が何々で」調を避けて「ウィルスの猛威へ悟るニューライフ」でも。
6. コロナ暴れてコロナ太りの着れぬ服(勝次) 「コロナ太り」の見付けは結構だが「コロナ」の重なりが気になる。「暴れて」も表現を替えて「コロナ猛威へ自粛太りで着れぬ服」
7. まとも過ぎあばれる君は名前負け(淑子) 残念ながら句意が掴み切れない。(編集注:「あばれる君」はお笑い芸人の名前)
8. 暴力の次代電池リチイオン(睦夫) 次世代リチウムイオン電池の開発競争のことか。省略がきつい。→「次世代へリチウム電池戦じみ」
9. 球児憧れの暴れる舞台夢と消え(勝次) 句意は結構だが上8でまとまりが今一。→「球児から暴れる舞台消すコロナ」
10・ 暴水に二人の力で切り抜ける(睦夫) 暴水が苦しい。比喩的な暴風雨として「二人の力で切り抜ける暴風雨」
11. 無責任のネット暴力自死招き(勝次)ネットによる誹謗中傷、自死で花さんと分かるが、無責任と詠んでしまわないで
「言葉の暴力で自死まで生むネット」
12. 貧しさでデモにギャングが紛れ込む(勝弘) 黒人差別デモの商店略奪を詠んで結構だが、具体的に「貧しさへ暴徒化店を襲うデモ
13. 無謀でなしガンジーの策非暴力(純逸) マハタマ・ガンジーとマハタル・ムボウを掛けたが、学が有り過ぎた。
14.暴走族ハトの二羽が飛んでいた(睦夫)同じ飛ぶでも暴走族とハトの対比がユニーク。中6が惜しい。→「ハト二羽と暴走族が飛んでいた」
15.甘い物切れて脳みそ暴れだす(惠子)脳味噌が?→「甘い物切らし暴れる舌と腹」
16.エスエヌエス暴言吐いて身を隠す(勝弘)このところSNSによる誹謗中傷が大きな社会問題となり、法的措置も考えられていて句材としてタイミングは良いが、吐いてから「身を隠す」のか。花さん関連であれば、「SNS暴言非難されて消し」だが。表記はローマ字で。
17. 大阪の知事ひと暴れ国動く(建夫)知事の対応策が国の対応のの参考になったのは確か。「ひと暴れ」がややきついか。語順を替えて、上7だが「国を動かす大阪知事のひと暴れ」
「雑詠」
津田先生◎or〇
◎+2 ネットより封書が早い給付金(達夫)(今回の最高点)よみうり文芸(千葉)川柳の16日秀逸に「オンライン郵送よりも遅くなり」が載っていた。どちらも皮肉たっぷりだが、達夫句の方が具体的でより佳い。
〇+2 マスク取りメロン頬張る夏よ来い(建夫)マスクメロンと掛けた句。終焉への思いは伝わる。津田先生の句「コロナ禍へとうに備えているメロン」
〇+2 感染防止観戦なしのプロ野球(純逸)カンセンの掛詞川柳として状況が伝わる。津田先生の句「新感染増えて新幹線減らし」
〇+1 シルバーに不要不急のことばかり(勝弘)改めて不要不急と言われて考えて見ると、まさに句の通り。
〇 不要不急そこに安らぎ満ちている(惠子)前の句と同じ不要不急だが着眼は異なる。今迄ドタバタしていたことに気付かされる。
〇 新習慣マスクで隠す無精ひげ(敬三)コロナでいろんな新習慣が生まれた。これもそのずぼらな一つ。
添削
1 両側の二人に気兼ね腰おろす(淑子) コロナの密か。背景が無いと何故だか分からない。→「両側へ密気兼ねして腰おろす」
2 法順守が賭け麻雀で無職の身(勝次)黒川検事長の訓告辞職で分かるがややその通り。思い切って全く表現は異なるが「白牌が黒牌になる検事長」
次回 お題「指」
令和2年7月14日(火)14時45分から16時45分。銀座オフィスにて。
例会は、通常、毎月第2火曜日14時45分から16時45分です。
入会者募集中!
川柳に興味をお持ちの方 是非見学にお越しください。
ご見学・ご入会等のお問い合わせは、同窓会東京支部( kg_tokyo_soumu@yahoo.co.jp )にお問い合わせください。
指導は著名な津田暹(すすむ)先生。雑誌「川柳研究」元編集長及び発行人。
現在世話役小山内惠子(s45)、石田達夫(s45)
メンバー 男7名、女性2名。