2019年4月度例会のテーマは、「人生100年時代を生きるための運動器と運動の重要性」です。皆さんにも身近な関心事というわけで58名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。講演してくださったのは、予約は3ヶ月待ちという高名な整形外科医の石橋秀明先生です。病院での診療のかたわら、ロコモティブシンドロームの啓発のためのセミナーにも力を注いでおられます。講演の冒頭にご出身の東大ではアメフト部でしたとおっしゃって一気に距離が縮まりました。

 人生100年時代を生きるためになにより必要なのは運動と栄養です。ある年齢の人がその後いくつまで生きるかというのが平均余命で、75歳なら男性87歳、女性は90歳超えだそうです。そこまで元気に生きるためにはどんなことに注意すればいいのでしょうか。データをみれば転んで骨折が12.4パーセント、女性は15パーセント、関節が10.2パーセント、脊髄損傷は2.3 パーセント。あわせて26パーセント。4人に一人がどれかを患っていることになります。認知症をいれると6割もの人に介護や支援が必要です。介護や支援につながるのがロコモティブシンドロームです。

ロコモティブは運動器の意味でロコモティブシンドロームは運動器の障害で移動機能に低下をきたした状態をいいます。人体を支える骨、動くための関節・軟骨・椎間板、体を動かすための筋肉や神経。これらで人間は動くことができます。。これらで人間は動くことができます。筋力の低下などの運動機能の低下、運動器疾患(骨粗鬆症、変形性関節症、脊柱管狭窄症、サルコペニア(筋肉減少症、骨折)などが運動器の障害ひきおこします。原因は加齢です。遺伝背景もあり7割は遺伝できまります。しかしタンパク質を十分にとり運動をして日常的によく動いていれば大丈夫です。

 整形の受診でいちばん多いのは変形性膝関節症です。痛みの原因は膝の構造にあります。筋肉には関節を動かし安定させる役目があります。大腿四頭筋とハムストリングがしっかりしていると膝が痛みません。膝の痛い時は筋肉を鍛えるとよくなることがあり、2ヶ月くらいやると筋肉が増えます。

骨折の原因になるのは骨粗鬆症

骨にすが入った状態、糖尿や肺気腫の人はなりやすいのでタバコは今日から止めたほうがよい、骨折部位は背骨、足の付け根、肩 手首など。骨量検査はしておくこと。薬を3年間使うと骨折が半分になるというデータがある。

①日頃の対策

・腰痛と円背予防の上体そらし運動

うつ伏せに寝た状態から上体を反らす。10秒間X5回 3セット~5セット/日

(脊椎管狭窄症のある人は要注意。下肢に痛みが出たら中止。)

・背筋をきたえる

お腹の下にクッションをいれ手を腰に。上体を持ち上げる。5秒間X5~15回x2~3セット/日

・運動習慣

運動習慣の有無と程度は運動機能と関係がある。文科省の体力テストの結果、女性は60代後半の運動をしない人と70代後半の運動をする人が同じ。運動習慣のある人は10歳若い。

・ロコモ立ち上がりテスト

40センチのいすから片足で立ちあがれたらロコモではない。定期的に調べていると変化がわかる。

②ロコモ予防

運動習慣をつける。有酸素運動や種々のトレーニングなど。

・シンギング・スクワット(両足を肩幅より広く開き、30度くらいつま先を外に向ける。前かがみになり腰を後ろにひいて膝をまげる。膝の位置がつま先より前に出ないこと。両手の位置はバランスを取りやすい位置に。5秒で屈み5秒で起こす。そのために歌と一緒にロコモ古時計ー大きな古時計の替え歌ーがうまく合う)。これでハムソトリング、大腿四頭筋、前脛骨筋全部鍛えられる。

・ヒールレイズ

下腿三頭筋を鍛える。背伸びをしておろす。20回。2、3回/日。水戸黄門の歌にあわせてゆっくり。ワンコーラスで20回。

・片足立ち。右左1分間立つ。1分間できたら当分は大丈夫。それを維持するように。これにいいのがああ人生に涙あり。

・姿勢良く歩く

ウオーキングはお腹をしめて胸をはる。座っているときも同様。

膝や腰の痛みが出ても運動部位に限られているなら大丈夫。

ただ痛みが翌日まで持ち越すようなら3日間休んで半分くらいの運動量から再開してください。

③栄養をしっかりとる

 タンパク質、カルシウム。ビタミンD 、ビタミンK

タンパク質はからだの材料。肉も魚も100グラムでタンパク質は20グラム含んでいる。男性は60グラム、女性は50グラム摂りましょう。肉と魚の100グラムの主菜を昼と夜に1皿ずつで40グラム、あと牛乳1杯で7グラム、卵1個で7グラム。豆腐半丁7グラム、この3つで20グラム。ただ吸収する力やアミノ酸の利用効率も悪くなっているので若い人の2割増しは必要。カルシウムは800ミリグラム摂ることになっているが日本人は500ミリグラム摂っている。牛乳200ccで200ミリグラム。ヨーグルトも同じ。小松菜もいい。ビタミンCは日光にあたるといいが食べ物では魚とキノコ。

ビタミンKは納豆やブッロコリー。ビタミンKをとっているほうが、骨折が少ない。青汁はとてもいい。鯖缶半分でタンパク質ビタミンD、Kが十分。いわしでもさんまでも同じ。但し塩分をチェックする。

運動器以外の運動の効果                      

 運動は糖尿病、認知症、脂質異常症、高血圧、コレステロールの改善になる。 ウオーキングと筋トレで35パーセントくらいの効果がある。ロコモがすすむと身体の動きが悪くなり生活習慣病になる。病気の早期発見、早期治療も必要。 

 日頃から以上の内容を実行されると、100歳まで生きられるそうです。ロコモ古時計と水戸黄門のテーマソングを活用して健康で100歳を目指しましょう。

【以下ご案内文】

2019年4月度例会は、整形外科医の石橋英明先生をお招きし下記要領にて実施いたします。

 先生は、人工関節手術、骨粗鬆症、関節リウマチなどを専門とし、同時にNPO法人高齢者運動器疾患研究所を主宰され、ロコモや骨粗鬆症に関する講演を医師や一般向けに全国で行い、NHK「テレビシンポジウム」、テレビ朝日「たけしの家庭の医学」等数多くのTV番組にも出演されています。

 本講演では、運動器の健康維持の重要性と具体策、運動器の代表的な疾患である変形性膝関節症や骨粗鬆症等に関するご説明、更にはこれらを予防するための下肢や体幹を鍛える運動、腰痛防止のための上体そらし運動なども、実演を含めて分かりやすくご解説いただけます。

 なお、会場は、関西学院で勤務されていたSamuel H. Wainright教授の名前を冠した銀座教文館書店ビル9階ウェンライトホールでございます。

 是非とも多数の皆様のご出席を賜わりますようご案内申し上げます。

日  時 :2019424日(水曜日)133014451300開場】

場  所 :教文館書店ビル9階 「ウェンライトホール」 東京都中央区銀座4-5-1

                  アクセス    https://www.kyobunkwan.co.jp/map

      9階ホール入口前に「三日月会受付」(13:00~13:25)を設置

会  費 :1000 (小ペットボトルのお茶を用意しますが、軽食の提供はございません)

 講  師 :石橋 英明(いしばし ひであき)氏 伊奈病院整形外科部長

 1988年 東京大学医学部卒業。東大病院整形外科、三井記念病院整形外科などに勤務

 1992年 東京大学大学院入学、1996年同終了、学位(医学博士)取得

 1996年 米国セントルイス市ワシントン大学に博士研究員として留学、

 1999年 東京都健康長寿医療センター整形外科、2002年同医長

 2004年より現職

 日本整形外科学会専門医、広報・渉外委員会アドバイザー、ロコモチャレンジ推進協議会委員

 日本骨粗鬆症学会評議員、骨粗鬆財団評議員など、幅広くご活躍 

講演タイトル :『人生百年時代』を生き伸びるための運動器と運動の重要性 

*申込締切 2019418日(木)で締切りました。                         

尚、同窓会東京支部のkg_tokyo_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無いようにお願い申し上げます。

*お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226

【次回予告】三日月会5月度例会は524(金)に仮題『百寿者の秘密』と題して大阪大学権藤教授をお招きして開催する予定でございます。

                                                  以上