川柳サロン１１月例会　お題「厄介」+雑詠１句

１１月９日（金）　ランバスホール　　出席７名　欠席１名　投句８名

津田先生◎or〇　　会員よりの得点数　+数字

◎+３　苦労した娘子連れで早や戻る（勝弘）「苦労した」が「娘が苦労した」のか？「親が苦労してやっと嫁にやった」のか両方取れるが、「早や戻る」で後者だと分かる。

◎+２　誰もいない故郷にある家と墓（勝次）さらっとした句だが,しみじみとした深みのある句になっている。

〇+７　隣家からいい枝ぶりが突き出てる（恵子）（今回の最高点）古川柳の前句付けに合う句　「切りたくもあり　切りたくもなし」　樹木の具体性を出すには→「隣から越境してる松の枝」

〇+３　ふるさとに遺る空き家の後始末（純逸）古川柳の前句付けに合う句　「やっかいなこと　やっかいなこと」。「残る」ではなく「遺る」の字を使っているのは、家は財産として遺るという意味。

〇+２　仕事なく趣味なく昼寝する夫（純逸）くどくて面白い。

〇+１　トランプがパンドラの箱開け続け（達夫）説明ぽくなっている。５・７・５を７・５・５にすると納まりが良くなる。→「パンドラの箱トランプが開け続け」

〇+０　長年の活動記録今は邪魔（淑子）「活動記録」が分かりづらい。本人の説明→昔から今までずっと続いている様々なお稽古事等でため込んできた莫大な量の書類とのこと。津田先生も山ほどあるとのことで共感。

〇+０　渋谷では厄介者のハローウィン（敬三）「ハローウィン」ではなく「ハロウィーン」。タイミングの良い句になっている。

「今月の学習」

１．築地からネズミも共にお引越し（達夫）「共に」とすると「共に豊洲へ」となってしまう。→「界隈へ築地のネズミお引越し」

２．年金が親を逝かせぬパラサイト（勝弘）「年金が」とすると主語が年金になる。パラサイトを主語にする→「年金へ親を逝かせぬパラサイト」

３．ラッシュ時の疑いさせぬ両手上げ（勝次）→「させぬ」は良くない。「ラッシュ時に疑い避ける両手上げ」又は「両腕でつり革つかむラッシュ時」

４．厄介を避けて過ごせる老いの知恵（睦夫）具体性が無くイメージがつかめない。「避けて過ごせる」は表現がくどい。→「面倒なことやり過ごす老いの知恵」

５．厄介を先に片付け楽を待つ（睦夫）具体性が無くイメージが湧かない。「楽を待つ」という表現が堅苦しい。

６．年賀状差出人が分からない（敬三）「年賀状」を下に持って行った方が厄介感が強くなる。→「差出人が分からない年賀状」

７．庭の石更地邪魔する困りもの（淑子）「邪魔する」と「困りもの」は意味が重なる。→「更地化へ邪魔するように庭の石」

８．厄介な奴のお茶目を持て余す（恵子）「厄介」と「持て余す」は意味が重なる。「奴」は男だが、「お茶目」は若い女性のイメージ。本人の弁では普段は生真面目な夫のこと とのこと。→「生真面目な奴の駄洒落を持て余す」

９．赤い糸どこでもつれた倦怠期（勝弘）重点を「赤い糸」に置いた方が良い。「どこで」よりも「いつ」にする。→「倦怠期いつもつれたか赤い糸」

１０.重き荷の老々介護いばら道（勝次）老々介護が重い荷なのは当たり前。「いばら道」を強調すると良い→「這うように老々介護いばら道」

１１．嫁姑仲良さそうで何かある（恵子）嫁姑問題の句はありふれているので、よっぽどでないと良い句にならない。

１２．プライドが邪魔しドタキャン古稀ジュリー（達夫）「邪魔した」のではない→「プライドが出しゃばりドタキャン古稀ジュリー」

１３．釣り上げた鯛貰ったが捌けない（敬三）「釣り上げた」では誰のことか分からなくなる。→「釣ってきた鯛貰ったが捌けない」

「津田先生の例句」
１．お隣に満点パパがいて困る

２．晩酌の後に待ってる皿洗い

３．諦めず水と油を混ぜている

「雑詠」

津田先生◎or〇

◎+１　難聴が増え騒がしいクラス会（敬三）現実を面白く詠んでいる。

〇＋２　補聴器は嫌な音ほどよく拾い（勝弘）音だけでなく、心理的なものも入ってくる。

〇＋１　ラッシュでは中吊り読ます最後まで（睦夫）→「最後まで中吊り読まさせるラッシュ」

〇+０　柿食えど鐘金鉦に縁はない（恵子）「柿食えば鐘が、、」と詠む風流さもなければ、金にも宗教にも縁が無いと言っている。

添削

１．寒暖差にもう出番かと花咲かす（純逸）→塩害へもう出番かと花が咲き

２．真実は自己責任の命がけ（達夫）「真実は」は「真実を知るためには」を省略した形。→真実へ自己責任の命がけ

３．席譲られ断り返す老いの意地（勝次）→譲られた席を断る老いの意地

次回　　お題「苦手」

１２月１４日（金）14時30分時から１７時。場所はサピアタワー10階「ランバスホール」です。

川柳に興味をお持ちの方　是非見学にお越しください。

指導は著名な津田暹（すすむ）先生。雑誌「川柳研究」元編集長及び発行人。

現在世話役小山内惠子(s45)、石田達夫(s45)(090-3357-4101)

メンバー　男６名、女性２名。

kg-tokyo.co内のサークル活動「KG川柳サロン」をご覧ください。毎月の成果が出ています