川柳サロン9月例会 お題「胸」+雑詠1句
9月11日 貸会議室プラザ八重洲北口 出席7名
津田先生◎or〇 会員よりの得点数 +数字
◎+6 老人の胸の痛みは恋じゃない(勝弘)どんでん返しで面白い句。
◎+4 口下手が胸襟開くいいお酒(勝次)流れが良く光景が目に浮かぶ句
◎+2 二歳児の「おいちゃんここ」に胸つまる(達夫)時事句だが印象が強い。
〇+3 胸弾む思い出だけで幸せに(恵子)良く分かる句。「で」を「が」に変えると雰囲気が変わる。
〇+2 古稀過ぎて自慢の胸もうなだれる(睦夫)胸だけでなく、自分に対する自信もうなだれて来ている様を「も」の使い方でうまく活かしている。
〇+1 胸元に視線の来ない齢になり(敬三)見立てがとても面白い。
〇+1 胸襟を核の厚着で開けない(睦夫)。厚着なので脱いでゆくのに時間が掛かる。比喩の使い方が上手い。
「今月の学習」
1.土偶見て いにしえ想い胸躍る(淑子)なぜ胸躍るのか分からない。→ふくよかな土偶の胸にあこがれる
2.胸ドキもキュンも溢れる高齢者(恵子)「溢れる」は無理がある。「キュン」を狭心症と詠めば面白い句になる。
3.合格の番号探しこの辺り(純逸)自分の番号が近づいて来て「ハラハラ、ドキドキ」感を詠んだ句だが、お題まで遠くなっている。
4.会見後ポツリともらす胸の内(勝次)いつ誰に言ったのかが説明出来ていない。
5.嫌な奴の胸に収めて祝辞言う(勝次)助詞の使い方が良くない。「の」を取ると伝わる。→嫌な奴 胸に収めて祝辞言う
6.忖度は相手次第の胸三寸(淑子)下6になっている。
7.ジャンボくじ抽選までの胸騒ぎ(敬三)宝くじで胸騒ぎはあまり無い。宝くじの句は出尽くしているのでよほどでないと難しい。
8.新婚もときめいたのは3か月(達夫)3か月は早すぎる。逆に「ときめいたのは挙式まで」とした方が面白い。
9.深呼吸血圧高め二度三度(勝弘)ブツブツ感があり流れが悪い→血圧の計り直しに深呼吸
10.人付き合い隠し通すは胸の内(恵子) 「隠し通す」と「胸の内」は意味が重なる。
11.受かったと胸を張り言えぬ医学生(純逸)→受かったと胸を張れない医学生
12.台風と地震のダブル胸痛む(淑子)その通りの句。
13.胸弾み入社したのにブラックか(純逸)「のに」〇〇「か」では理屈ぽい詠みになる。
14.被災地から胸なでおろす無事の声(達夫)「胸なでおろす」と「無事の声」は意味が重なる。→被災地から胸なでおろす友の声
15.ぶっちゃけて明かしきれない胸の内(勝弘)背景が不明なので、ただそれだけの句になっている。
「津田先生の例句」
1.君の形の空洞が胸にある
2.胸奥に断捨離出来ぬものがある
3.胸中を皆曝け出すレントゲン
「雑詠」
津田先生◎or〇
◎+3 台風の爪痕にさえ虫の声(恵子)「さえ」で凶と吉を上手く対比させ、希望を見せている。
〇+2 突然のお迎え待って今日を生き(勝弘)ピンピンコロリを期待している。「を」を「も」にするともっと良い。→突然のお迎え待って今日も生き
〇+1 温暖化だけじゃないぞと鯰出る(睦夫)人間に対する警告を上手く詠んでいる。
〇 得しません踊ってみてもそんそんに(純逸)「徳島」「損が出ている」「踊らにゃそんそん」と3つ掛けている。
添削
1.パソコンが信じられずに危機管理(淑子)パソコンだけでは心配で、iPadやスマホにもデーターの保険を掛けていることを詠んだ句だが、内容を理解させるまで詠み切れていない。
2.妻の小言ハイハイ答え上の空(勝次)「ハイハイ答え」と「上の空」は意味が重なる。
次回 お題「惜しい」
10月9日(火)15時から17時。場所は「貸会議室プラザ八重洲北口」です。
川柳に興味をお持ちの方
指導は著名な津田暹(すすむ)先生。雑誌「川柳研究」元編集長及び発行人。
現在世話役小山内惠子(s45)、石田達夫(s45)。男6名、女性2名。
kg-tokyo.co内の「KG川柳サロン」をご覧ください。毎月の成果が出ています。