三日月会5月例会は1950、60年代のフィギュアスケートのスター選手だった同窓の平松(旧姓:上野)純子様に「スポーツの力」というテーマでご講演いただきました。冬季オリンピックのポスターの映像を映しながらご自分との関わりを重ねあわせ、歴史をひもといての講演でした。引退後もずっとスケートと関わり続けスポーツの力を痛感したとのことです。40年会はじめ84名もの皆様がご参加くださいました。ありがとうございました。
2月の平昌での冬季オリンピックの記憶も新しい中、平昌でのスケートの日本選手の活躍から講演が始まりました。国際スケート連盟理事として3週間現地に滞在されました。日本は金4個、銀5個、銅4個の計13個のメダルを獲得し、特にスピード女子やカーリングの活躍で盛り上がりました。
平松様は戦後日本のフィギュアスケート選手が世界で活躍するきっかけを作られた方のおひとりです。スケート選手だったお母様の影響で10歳からスケートを始めました。
冬季オリンピックがスタートしたのは1924年のシャモニーから。1940年の札幌での開催は中止になりましたがお母様が候補にあがっていました。48年のサンモリッツから再開し、56年のコルチナダンペッツォで猪谷千春選手が初めて銀メダルを獲得します。
1960年のスコアバレーには、初めて戦後育ちの選手として佐藤信夫、福原美和選手と共に出場し、旗手も務めました。目標に向かって頑張り続け、閉会式でのブランデージ会長の挨拶を聞いて、ぜひもう一度出たいと強く思いましたが、順調だったスコアバレーまでと違い、3月には全日本で福原選手に負けてショックを受け、勝者の陰で悔しい思いをしている選手がいることを初めて知ります。ずっと練習ばかりで友人との付き合いの楽しみもないほどでしたが、1961年に関学に入学すると、当時はどの運動部も強かった時代で、みんな頑張っていることを知り、とても励みになりました。目標を持ち集中して頑張った4年間でした。1964年のインスブルックにも出場しましたが、悩みも多くいろいろな出版物を読むなかで違った角度からの見方に助けられました。分野の違うスポーツを知っている人からのアドバイスも力になりました。「スポーツ選手はスポーツ人生のなかでひとつの人生を生きる」という言葉に出会い感動しました。
現役引退後は審判への道を歩みます。審判の資格をとり、1972年の札幌オリンピックのときはアジアでの初めての冬季オリンピックの開催ということで、受け入れを手伝いNHKの解説も務めました。グルノーブルの後、結婚しニューヨークでの滞在も体験します。アメリカはフィギュア王国でそこではいろいろな出会いもありチャンスもありました。すでにインターナショナルの資格も持っていて選手時代の知り合いもいて、そこからアメリカの社会に入っていくことができました。1980年のレイクプラシッドは何度も訪ねたところです。ここでは渡辺絵美さんが活躍しました。
オリンピック審判員の特別の資格もとり、1988年のカルガリーでチャンスがあり、初めて男子部門を担当しました。いまコーチで有名なブライアン・オーサーはこのときの出場選手で銀メダルでした。98年は長野での開催で、91年に招致委員になりマーク委員会に所属していました。このときは伊藤みどりさんが聖火に点火しました。ジャッジは男子を担当しました。
2002年ソルトレークになるとレベルが上がってきてジャンプも一回転からダブルジャンプ、そして3回転になってきて審判の方法も変わってきました。フィギュアスケートの採点法はそれまでの6.0システムでは対応できなくなり、現在のISUジャッジングシステムの方式に、2004-2005シーズンから正式に採用されました。難しさをみる審判と質をみる審判にわかれました。荒川静香さんが優勝した2006年のトリノから新しいルールになりました。2010年のバンクーバーでは浅田真央さんが銀、高橋大輔さんは銅でした。
ソチから羽生選手がでてきました。フィギュアのレベルもあがってきて放映権のとりあいになり全日本のチケットは20分で完売です。冬季オリンピックでも海外のほうが取りやすいとのことで多くの日本人が日本の国旗だけでなく、各国の国旗を持参して応援して、関係国に喜ばれています。
スポーツは元気や夢を与えてくれます。兵庫県では、県が無償で土地を提供、スケートリンクができました。練習場があればみんなの気持ちがひとつになります。先日の羽生選手の仙台でのパレードに10万人が集まりました。
スポーツは体も心も鍛えます。ひとりひとりが自分の正義感を持って頑張ってほしいと思っています。
例会はアメフトが問題になっている最中での開催でした。スポーツは体と心をきたえるものという平松様の言葉がことさら重く感じられた講演会でした。
【以下ご案内文】
三日月会例会は、ランチタイムセミナーとして同窓会東京支部の皆さまにご参加いただいてまいりましたが、2018年4月より午後開催のセミナーに変更させていただいております。13時開場、13時30分から開始、軽食の提供はございません。ご参加の皆様には、開催要領の変更にご注意ください。
さて、5月度は国際スケート連盟理事平松(旧姓:上野)純子氏をお招きして、下記内容にてご講演いただく事になりました。
平松純子氏は、現役時代に戦後育ちの第一期生のフィギュアスケート日本代表としてオリンピック・世界選手権大会等に出場されました。日本のフィギュアスケート選手が世界で活躍するきっかけを作った方のお一人です。
現在も平昌オリンピックパラリンピックでメダル授与式に登場される等、アイススケート界、更には国際スポーツ全体の発展のためにご活躍中でございます。-
フィギュアスケートは芸術的要素を含めた評価をしますが、ご経歴からわかるようにISUフィギュア技術員のメンバーとして新ジャッジングシステムの構築にも関わってこられました。
三日月会5月度例会に於いては、国際スケート連盟の永年の活動を通じて体感された「スポーツの力」について、また、平昌オリンピックパラリンピックに参加した日本選手の活躍、グローバルに仕事をすることの意義や実際のご苦労などを拝聴できる良い機会だと思います。
是非とも多数の皆様のご出席を賜わりますようご案内申し上げます。
記
日 時 :2018年5月23日(水曜日)13:30~14:45【13:00開場】
場 所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール
千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階
サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(13:00~13:25)を設置
会 費 :1000円 (紙パックのお茶を用意しますが、軽食の提供はございません)
講 師 : 平松(旧姓:上野)純子氏 国際スケート連盟理事
1956年~59年、61年 全日本フィギュアスケート選手権優勝。1960年、1964年 第8、9回冬季オリンピック日本代表。1965年、関西学院大学文学部卒業。1971年 国際スケート連盟国際審判員の資格を取得。その後、審判員、レフェリー、テクニカルコントロラーとして種々の国際大会、世界フィギュア選手権大会、オリンピック大会等にかかわる。2002年、国際スケート連盟(ISU)フィギュア技術委員に選出され、2010年より理事を務める。元神戸薬科大学教授。元日本オリンピック委員会理事。
講演題目 :「スポーツの力」
*申込締切り 2018年5月18日(金)でお申し込みは締切りました。有難うございました。
尚、同窓会東京支部のkg_tokyo_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ません。
*お問合わせ先:東京支部 TEL 03-5224-6226
【次回予告】三日月会6月度例会は6月20日(水曜日)に日本気象予報士会の田家康(たんげ やすし)氏をお招きして開催する予定でございます。
以上