Bidding trouble and the maglev

                                2018.4.12.

    

中央リニア(maglev)新幹線(品川~大坂 483㎞ 総額 9兆円)の工事に関し、ゼネコン4社による入札談合(bid-rigging)捜査が行われ、昨年12月にそれぞれ起訴されました。

2005年には一連の公共プロジェクトで入札談合が摘発され、その反省から再発防止を宣言しましたが、またかという虚しい思いがいたします。

 

今回のプロジェクトは、品川~名古屋間286㎞の80%以上がトンネルであり、また初めての超電導磁気浮上式鉄道であるなど、高い技術上のハードルがあります。

当然、高い技術力、十分な資金力、従事者の動員力などが可能な主要ゼネコンに限定されたと思います。

 

今回は、検察が偽計業務妨害(刑法233)違反で捜査を先行させ、公正取引委員会(公取委:the Fair Trade Commission)と共同で起訴したもので、これまでの公取委の告発を受けての起訴とは異なる点が、注目されるところです。 2014年~2015年の間の品川駅と名古屋駅の建設に伴う4社の共謀による談合を対象としたもので、大林、鹿島、清水、大成が起訴されました。

大林と清水は公取委にリニーエンシー・ルール(leniency rule)に基づき課徴金減免制度の手続きをとり、鹿島と大成は現在係争中です。

 

2016年5月に刑事訴訟法が改正され、今年6月からは、被疑者や被告人が検察に対し、他人の犯罪を供述する代わりに、刑事責任の追及を免れたり、裁判で通常より軽い求刑を受けられる司法取引制度(plea bargain system)が導入されます。 

米国では談合(カルテル)は司法省の反トラスト局で刑事事件として、独禁法の専門官がリニーエンシー制度や司法取引を駆使して、摘発の実績を上げています。

 

入札談合による建設コストの増加は、最終的には消費者や利用者に余分な負担をかけることになります。 再発防止の面から、行政は新たな制度を駆使して摘発の実績を上げ、入札談合は請負者にとって決して利益にならないことを、実績によって示していく努力が求められます。

 

 

                               藤本 靖