三日月会12月例会は、山田不動産コンサルティング株式会社代表取締役岡本清秀氏に「現場から見える不動産の将来予測今すべきこと、してはいけないこと」と題してお話しいただき、55名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

【ご講演の概要】

 不動産に関しては、誰に、あるいはどこに相談していいのか、わからない方が多いのではないでしょうか。今回はそういう方のためにわかりやすく資料に沿って不動産の今を解説していただきました。不動産は子供みたいなものだと岡本氏はおっしゃいます。判断を誤りやすいので、現実を見据えた判断が必要です。

 まず、今現在の不動産の動きについてお話していただきました。

 2017年1月1日時点の公示地価変動率を見ると、住宅地にはあまり変動は見られず、商業地の上昇率が都市圏において顕著です。東京都の上昇率は高く、全国地価ランキングでは、1位が中央区銀座2丁目の明治屋銀座ビルで、上昇率は17.9%、価格は3890万円/㎡で、上位5位を東京都が占めています。

 規模別オフィスビルの想定成約賃料を見ると、東京全体で500坪以上のSクラスビルでは微増しているものの、それより小さいBクラスビルではほぼ横ばいという状態が続いています。Bクラスビルの所有者はSクラスビルに移る傾向があるため、空室率が高まっています。しかしSクラスビルといえどもリーマンショック以前の半分だということです。

 東京23区のビル供給予定棟数と面積については、2017年度は19棟、述べ床面積にして286425坪ですが、2018年〜20年にかけて年間22棟と増えています。これはオリンピックが影響していて、21年になるとぐっと減る傾向にあるようです。東京駅周辺では大手町、日本橋や丸の内地区にもこれから竣工予定のビルがいろいろあります。2027年には高さ400メートルのビルが建つ予定です。

 マンションの動きはどうでしょうか。首都圏の新築、中古マンションの供給個数について言えば、リーマンショック後新築マンションは減少傾向にあります。2016年、新築と中古個数が逆転しました。それに伴い中古の値段が上がっています。都心部では新築マンションを建てる場所が少なくなり、むしろ利便性のあるのは中古です。 

 次に所得別世帯数の分布ですが、半数以下が平均所得金額5458千円を下回っています。首都圏マンションの平均値は5500万円ですので、年収の12倍となると購入は厳しいものになります。

 さて本題の不動産の将来予測についてです。下落する要因として、人口減少、災害、個別の要因があります。価格が上昇するということは、欲しがる人がいるということすなわち「勝ち組」ですね。反対に下落するのは欲しい人がいない「負け組」ということです。「勝ち組」か「負け組」かを見極めて、今売却すべきなのか、持っていた方がいいのか、また、今購入すればいいのか、待っていた方がいいのか、それについてのアドバイスをお聞きしました。

 まず人口減少の問題ですが、2040年の都道府県別人口の増減率から見ると、比較的減少が少ないと予測されるのは沖縄、東京、滋賀で、沖縄で−1.7%、東京、滋賀で7%あたりです。東京23区の中でも千代田区、中央区、港区は人口流入増加が予測されます。

 また世帯構成の推移ですが、2020年に世帯数がピークになり、その後減少します。単身世帯と子供を持たない夫婦世帯が増加するので、一戸建てでもマンションでも、4LDKより部屋のスペースにゆとりのある3LDKや2LDKが好まれるでしょう。 鉄道各沿線で増加率が見込まれるのは、田園都市線、京王線、東急東横線などで、東西線、東海道線、中央線などは減少するでしょう。

 今問題になっているように、空き家が増えています。首都圏でも2018年は13パーセントでしたが、2033年には24パーセントが空家になります。 

 危険度に関してはどうでしょう。地震発生の危険度ランクでは荒川区が顕著ですが、墨田区、荒川区、葛飾区など高い傾向にあります。それ以外に建物崩壊危険(古い建物)、火災危険(密集した所)、総合危険(液状化、治安が悪い、タワーマンションでは長期の揺れやエレベーターが止まるなど)様々な要因が考えられます。

 分譲マンションの個別の要因として、マンション毎の格差とマンション内の格差があります。

 以前耐震強度を偽造した事件がありましたが、まず大事なのは信用のあるデベロッパー、施工会社を選ぶことです。それに伴って管理会社も決まってきます。安すぎる物件は危ないということが言えます。

 一般的に駅から遠い物件は資産価値が下がりますが、高齢者が増えている現状からすると、高低差のある物件が避けられる傾向にあるようです。

 マンション内格差として、眺望の問題があります。眺望がいいか悪いかによって価値が驚くほど違います。眺望のいい部屋は高くても売れます。 

 不動産は大事な「子供」です。売り買いは信頼できるコンサルタントに相談して慎重になさってください、と締めくくられました。参加者はそれぞれご自分のケースについて参考にされた部分が多かったのではないでしょうか。

【以下ご案内文です】

 三日月会12月度例会は、山田コンサルティンググループ(東証JASDAQ上場)の不動産部門である、山田不動産コンサルティング株式会社代表取締役岡本清秀氏に『現場から見える不動産の将来予測今すべきこと、してはいけないこと』と題し、様々な情報が飛び交う現代において何をどう読み取れば良いのか、不動産に付随する情報も含め、ハウスメーカーや一般的な不動産会社からは聞けない、偏りの無い包括的な内容を下記の通り講演いただく予定でございます。

是非とも多数の皆様のご出席を賜りますようご案内申し上げます。

       記

日  時 :20171220日(水曜日)12151330

場  所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール

            千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

      サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(11:3012:10)を設置。

会  費 :1,500円 (軽食は11:30から講演前にお出しいたします。)

講師紹介 : 岡本 清秀氏(山田不動産コンサルティング株式会社代表取締役)

《資格》宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、1 FP 技能士

《経歴》

1975 年3 28 日生まれ。1997 4 月~2002 7 月 業界最大手流通会社にて営業として様々なキャリアを積む。2003 2 月 山田不動産コンサルティング株式会社入社。2008 4 月 同社代表取締役に就任し、コンサルタントとして仲介のみならず資産活用、不動産MA、不動産物納を始めとした様々な案件に携わりクライアントの問題解決を行う。その他に、大手金融機関や証券会社の社員、そして富裕層を対象にした講師、セミナー活動も多数実績有り。

タイトル:『現場から見える不動産の将来予測 –今すべきこと、してはいけないこと』

*申込締切日: 20171214日(木)締切りました。

尚、同窓会東京支部のkg_tokyo_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無いようにお願い申し上げます。

*お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226  FAX 03-5224-6227

【次回予告】2018年度新春1月度例会は、131()に松本克巳氏をお迎えして開催する予定です。                                                                           以上