三日月会2016年10月度例会は、学院史編纂室総合主幹の池田裕子様をお迎えし、『関西学院の真実 〜ニュートン先生、ベーツ先生から学んだこと〜』と題してお話を伺いました。83名の方にご参加いただき無事終了いたしました。有難うございました。
【講演の概要】
初代の院長であったランバス先生のことはよく知られていますが、第3代院長のニュートン先生、第4代院長のベーツ先生についてはあまりよく知らない人も多いのではないでしょうか。
1889年、関西学院は原田の森に創立されました。ランバス先生はアメリカの南メソヂスト監督教会の宣教師でしたが、1910年カナダのメソジスト教会が関西学院の経営に参与することになり、ベーツ先生は最初のカナダ人宣教師として赴任されました。ベーツ先生はカナダ、オンタリオ州のロリニャルというフランス語圏で生まれ、モントリオールのマギル大学を卒業されています。高等学部(文科、商科)の開設、1920年に第4代院長に選出され、上ヶ原移転後、大学(法文、商経)開設という大事業を成し遂げました。
原田の森の中央講堂の院長室の窓からベーツ先生は、毎日世界に通じる港や、通ってくる生徒たちを眺めていました。「新旧、現実と理想、善悪、生死、関西学院はそれらすべての中心にいる。・・・私たちの手で関西学院を生、光、そして力の拠点にしようではないか。そうしようと思えば、私たちにはそれができるのだ。」という言葉を残されています。これは「空の翼」の風、光、力の言葉に通じるところがあります。“Mastery for Service”というスクールモットーも提唱されました。
ベーツ先生がデザインした1912年のエンブレムには、文科と商科を表すヘルメスの杖が表されているのに対して、1929年のエンブレムには4つのシンボルが描かれています。聖書(神学)、松明と羽根ペン(文科)、三日月(中学部)、ヘルメスの杖(商科)です。これは今も使われています。
第3代院長のニュートン先生は、アメリカ、サウスカロライナ州で生まれ、宣教師として来日、ランバス先生と共に関西学院の創立に力を尽くされました。「生みの親より育ての親」と言いますが、ランバス先生が生み出した学院を育てて行ったのがニュートン先生でした。生徒を愛し、生徒から慕われる人格者であったようです。
毎年図書館が募集する「J.C.C.ニュートン賞」という賞がありますが、これはニュートン先生にちなんだ賞です。関西学院の図書館は、ニュートン先生がサウスカロライナ大学から持ってこられ寄贈された本から始まったということです。また、校章、弦月のデザインは、ニュートン先生の出身地サウスカロライナの州旗デザインとの連関も示唆されています。
池田様は創立100周年の時に、ニュートン先生の子孫を探すという偉業に取り掛かられ、見事に曾孫であるエモリ―・アンダーウッドさんを探し出されました。彼の自宅を訪問された時、ニュートン先生が日本から持ち帰られた書や浮世絵、卒業生から贈られた七宝の孔雀などが飾られていたそうです。
ニュートン先生のお墓は青山霊園にあります。
「I want to go to Heaven through kwansei Gakuin」
ニュートン先生が残された言葉です。生涯関学を愛してくださったことがよくわかります。
また、イアン・オリゾンさんというラトビア出身の英語教師についても伺いました。1918年ロシアから独立したラトビアの青年オリゾン先生は、領事館の仕事をしながら3年間高等学部で英語を教えていました。このことを公表した池田様に対し、ラトビア共和国の広報活動に貢献したとして、外務大臣から感謝状が贈られました。その後もラトビア大使館との交流が続いています。
創立時には教職員数7人、学生数19人でスタートした学校が、127周年を迎える今年、幼稚園から大学院まで総勢27000人が学ぶ大きな学校に成長しました。その成長の背後には、ランバス先生、ニュートン先生を初め、ベーツ先生、イアン・オリゾン先生などの外国の方々の愛と奉仕の精神による導きがあったことを、深く心に留め置きたいと思います。
【以下10月度のご案内】
三日月会2016年10月度例会は、知っているようで知らない母校の歴史について、お話しいただきます。ベーツ先生やニュートン先生のことや校歌「空の翼」で歌われている”Mastery For Service”の由来、校章やエンブレムの意味など今さら聞けない母校のいろいろなこと、一緒に考えてみませんか?答えは西宮上ケ原キャンパスのシンボル、時計台にあります。かつて図書館だった時計台は、現在大学博物館になっています。その1 階に学院史編纂室があります。そこには関西学院の真実を物語る資料が眠っているのです…。
その編纂室で、日々学院史編纂に邁進しておられる池田裕子氏に、関西学院史についてご講演頂く事になりました。学院史に関する様々の疑問について直接伺える良い機会です。多数の皆様の ご参加をお待ち申し上げております。
記
日 時 :2016年10月19日(水曜日)12:15~13:30
場 所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール
千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階
サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(11:30~12:10)を設置。
会 費 :1,500円(軽食は11:45から講演前にお出しいたします。)
講 師 :池田 裕子(いけだゆうこ)氏 / 学院史編纂室総合主幹
1980年:関西学院大学商学部卒業、学校法人関西学院に就職。理学部、総務部システム課、大学 図書館閲覧課、国際交流課、経済学部を経て、現在:関西学院大学 学院史編纂室総合主幹。趣味:ガーデニング、ラトビア語
タイトル:『関西学院の真実 〜ニュートン先生、ベーツ先生から学んだこと〜』
*申し込み方法:お申し込みは終了いたしました。
尚、同窓会東京支部のkg_tokyou_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんので、くれぐれもお間違えの無いようご了承ください。
*申込締切は、10月13日(木)(締切厳守)です。
*お問合わせ先:東京支部 TEL 03-5224-6226 FAX 03-5224-6227
【次回予告】 11月度例会は11月16日(水曜日)
講師:渡邊 大門氏(1990年関西学院大学文学部卒、日本史学者・作家・㈱歴史と文化の研究所代表取締役)
著書:「真田幸村と真田丸の信実 家康が恐れた名将」
「幕末・維新に学ぶ 英傑はいかに困難を乗り越えたか」他
タイトル:『真田信繁の生涯』を予定しています。
以上