9月度例会は元会計検査院長・森下伸昭様をお迎えし、会計検査院についてお伺いしました。日頃知ることのできない世界のお話とあって今回も70名という多くの皆様にご参加いただきました。誠にありがとうございました。

【講演の概要】

 森下様は東京大学法学部で学ばれましたが、憲法の中で皆がそれほど重視していなかった日本の財政を審査する「会計検査院」に興味を持たれ、以来40年、その道一筋に歩んでこられました。ちょうど景気が下降線をたどりつつあり、企業倒産なども相次いだ頃、戦後経済の転換期でもある世の中について、会計検査院の立場から見てみようと思われたそうです。

 会計検査院とは、国の財政をチェックする機関であり、義務として徴収された税金が適正に国民のために使われているかをチェックする重要な機関です。その内容は広範囲にわたり時間いっぱいのご講演の後、皆様からたくさんのご質問も頂戴しました。 

 国家のしっかりした基盤の整備や、国民の生活が維持できるように社会福祉・社会保障に、財源は使われています。各種補助金・交付金、特に年金や失業保険は私たち国民一人一人に直接かかわることです。一方、主な財源は税金と国債。森下さんが入省された昭和41年には初めて国債が発行され、50年後の現在は1,000兆円に及び、国債なしには考えられない状況になっています。 

 会計検査では公金が不適切に使用されていないか、また効果的に使用されたかが審査されます。会計検査の運営は「オーディット」(原義はよく聴く)と言われるように説明をよく聞いて矛盾点を見つけ出すもので強制捜査権はありませんが、H17年法律が改正され、会計検査院の指示に応じることが義務付けられました。

 職員数はおよそ1250人です。チームを組んで書類審査のほか現地調査を実施、全国を飛び回っておられるそうです。女性の活躍も目覚ましく、検査院のイメージも柔らかになってきているようです。 

 関心の深い医療・介護・年金問題、社会保険料の未納問題、一方で災害に関して耐震補強や防波堤整備など、身近なところにも課題が山積しています。大切な財源の使途について今後も厳しくメスを入れて頂きたいと願う昨今です。 

 厳正な検査官として役割を全うしつつも人としての情に揺れる部分もお話しくださいました。会計検査院は遠い存在だと思っていましたが、私たちの生活に密着した多くの部分に関与し、大きな見守り役であることを教えて頂きました。

【以下9月度例会のご案内文】

三日月会20169月度例会は、8月度例会の講師藤井敬三氏と西脇高校同級生の森下伸昭氏の講演です。藤井さんの楽しい笑いいっぱいの話とはガラリと変わって少し難しいお話になるでしょうが、リオオリンピックや夏の高校野球の興奮が収まっても、「国の借金は1000兆円を超える」、「消費税増税の再延期で財政再建や社会保障どうなる?」、「ヘリコプターマネーが天から降ってくる」などなど、財政に関する話題には事欠きません。

このようなときに、我が国の基本的な財政制度の一角を占める憲法上の機関である会計検査院のことを少し勉強するのも意味のあることではないでしょうか。 組織や権限、会計検査の対象、報告内容などを元会計検査院長の森下氏に直接伺える良い機会です。多数の皆様のご参加をお待ち申し上げております。

日  時 :2016926日(月曜日)12151330

場  所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール

千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階

      サピアタワーオフィス3階受付前に「三日月会受付」(11:3012:10)を設置。

会  費 :1,500円(軽食は11:45から講演前にお出しいたします。)

講  師 :森下 伸昭(もりしたのぶあき)氏 / 元会計検査院長

1941年兵庫県西脇市生まれ 兵庫県立西脇高校卒業。1966年東大法学部卒業後会計検査院事務官採用。総務課長、審議官、局長、事務総長などを経て1999年会計検査官に任命。2004年から2006年まで会計検査院長。

2006年から2014年まで凸版印刷株式会社社外監査役。

現在「東京ウオーキングサークル」、及び「クラシック音楽を愉しむ会」家族会員。

趣味 読書(乱読と積読)、古典芸能鑑賞(特に能)、「散歩写真(フィルムカメラ)」

タイトル :『会計検査院ってどういうところ?』

*申込締切は、920()(締切厳守)です。人数に制限がございますのでお早めにお申し込みください。尚、出席される方のみお返事を頂きますようお願い申し上げます。

*お申し込み方法:お申し込みは締切りました

同窓会東京支部のkg_tokyou_soumu@yahoo.co.jpへのメール返信では、申込み受付出来ませんのでご了承ください。

*お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226  FAX 03-5224-6227

【次回予告】 10月度例会は1019日(水曜日)

  講師:池田 裕子 氏(関西学院大学 学院史編纂室総合主幹)

  タイトル:『関西学院の真実 ~ニュートン先生とベーツ先生から学んだこと~』を予定しています。

以上