【講演の概要】
8月例会は,食生活ジャーナリストとして活躍されている佐藤達夫氏に「健康情報のウソホント」と題してお話しを伺いました。68名のかたにご参加いただきました。ありがとうございました。
巷間に流布している食品を巡る「迷信」のひとつひとつをユーモアを交えて検証され,論調はまさに一刀両断,目からウロコの一時間半でした。「栄養学ほど情報が変わるのは珍しい」とおっしゃるように,食にまつわる情報は日々刻々変わっています。どれを信じていいのやら戸惑うばかりですが,佐藤氏は科学的に説明されたあとに,健康長寿への道もご教授くださいました。
コレステロール値について,昔から日本人は高値でもいいと言われていました。ところがアメリカの情報に振り回され,「悪玉」「善玉」の区別のもとに悪者扱いされたことは記憶に新しいですね。実はコレステロールに善玉も悪玉もなく,食べすぎや運動不足が悪の正体だそうです。
日本人の平均寿命は世界上位を誇っていますが,まだ健康寿命との差があって,これを短くするのが今後の課題です。「ピンピンコロリ」という言葉がはやっていますが,それを目指すのはおかしいとおっしゃっています。「ピンピンコロリ」とはつまり「突然死」であり,決して好ましいことではないのです。しかし、望み通りコロっと逝く確率は低く,やはり元気で長生きを目指すなら正しい生活習慣を続けるのがいちばんです。
「いちばんなりたくない病気」といえば,6~7年前は「がん」でしたが,今や「認知症」だそうです。アルツハイマー病などβアミロイドが原因の認知症もありますが,日本人の多くは血管動脈硬化によるものです。糖尿病,高血圧症,高脂血症を以前は「成人病」と呼んでいましたが,今は「生活習慣病」と呼ばれています。この中で「糖尿病」は遺伝性が高いと思われていましたが,やはり原因は生活習慣によるものでした。
ここで,認知症予防の6か条を伝授していただきました。
(1)人と付き合う(新しい人)
(2)趣味を持つ(新しい趣味)
(3)おしゃれをする,身だしなみを整える
(4)観察しながら散歩する
(5)30分程度の昼寝をする
(6)魚,野菜,果物を毎日食べる
今すぐにでも実践できることばかりですね。
さて,飲酒習慣は健康にいいか?について,有名な二つの言葉があります。
「赤ワインは心臓病を予防する」
「酒は百薬の長」
本当のところはどうなのでしょうか。赤ワインに関する「フレンチパラドックス」とは,フランス人がドイツ人に比べて心臓病が少ないのは赤ワインのおかげだ,というものですが,日本人が心臓病に罹患する数はもっと少ないので,赤ワインが健康にいいとは言えないようです。ちなみにお酒の適量は日本酒なら二日で一合,ビールなら中瓶一本だそうです。
野菜を一日に350グラム以上食べる人は健康な人が多いということですが,さて野菜を食べる代わりに野菜ジュースを飲んでもいいものでしょうか?野菜ジュースはヨーグルトや納豆とともに健康的な加工食品ではあるのですが,生の野菜を食べるのとジュースを飲むのとでは全く違うそうです。
最後に質問がありました。
「長寿のためには粗食がいいですか」
いいえ,粗食ではいけないのです。今やちょっと「小太り」の人が一番長生きします。
「結局,ナニで死ぬのでしょう」
朝,昼,晩,三食きっちり魚,肉,野菜を食べて,酒は飲まず,適度に運動をする人が,百歳過ぎまで生きると「天寿がん」(日野原先生の言葉)で死ねるということです。
科学に基づいた正しい健康法についてもっと詳しいことを知りたいと思う方は氏の著書「食べモノの道理」(じゃこめてい出版)をお読みください。
【以下案内文です】
三日月会7月例会は、K.G.Tokyoフェスタ2015開催月のため、例年の通りお休みです。
8月には、「食生活ジャーナリストの会」代表幹事の佐藤達夫氏をお迎えし『健康情報のウソホント』と題してお話しを伺います。
日本人の主たる死因が、感染症から生活習慣病に変わってから、半世紀近くが経過しています。
生活習慣とくに食生活を改善すれば「健康で長生き」できる、つまり、生活習慣病は自分で治す時代になったのです。ちまたに溢れている健康情報の中から、科学的で正しい健康情報を手に入れ、それを実践することこそ「健康・長寿」の近道です。「認知症は予防できるのか」「糖尿病は遺伝だから食事に気をつけても仕方ない?」「赤ワインのほうが白ワインよりも健康にいいの?」等など
多数の皆様のご出席を賜りますようご案内申し上げます。
記
日 時 :2015年8月26日(木)12:15~13:30
場 所 :関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール
千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階
3階サピアタワーオフィスロビー受付前に「三日月会受付」(11:30~12:10)を設置。
会 費:1500円(軽食は11:45から講演前にお出しいたします。)
スピーカー:佐藤 達夫氏 「食生活ジャーナリストの会」代表幹事
1947年千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。
1980年女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、現在は食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。
日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、埼玉県食の安全県民会議委員、ユーコープ事業連合リスクコミュニケーション委員会副委員長。
著書・共著書に「食べモノの道理」、「栄養と健康のウソホント」、「これが糖尿病だ!」、「野菜の学校」ほか多数
タイトル :『健康情報のウソホント』
*東京丸の内キャンパス・東京支部は、8月13日~21日まで盛夏休暇のため閉室いたしますので最終申込締切は、8月11日(火)(締切厳守)です。
人数に制限がございますのでお早めにお申込み下さい。
なお、出席される方のみお返事を頂きますようお願いします。
*お申し込み方法:8月度例会の受付は終了しております。
【次回予告】 9月度三日月会は9月24日(木)
スピーカー:甘中繁雄氏(株式会社防災士研修センター代表取締役)
タイトル:「多発する自然災害に備える」を予定。
以上