三日月会4月度例会は、4月21日74名の方のご参加により無事終了いたしました。ご参加まことにありがとうございました。

【講演の概要】

三日月会4月度例会は、作家、国文学者でいらっしゃる林望先生をお招 きして、「あざやかなる晩年ーイギリスの先達たちの思い出」と題するお話を伺いました。70名の方々が講演を待ち望む中、先生はダンガリーのシャツというラフな格好で登場されました。

 さて、先生の出世作「イギリスはおいしい」「イギリスは愉快だ」は発表されてすぐに大きな話題となりましたので、読まれた方も多いことでしょう。ユーモアを交えた格調高い文章と、仔細な観察眼に敬服したものでした。今回は「イギリスは愉快だ」を中心に、私たちの預かり知らないイギリス上流社会の深部に迫る愉快なエピソードを語っていただきました。

 特にL.M.ボストン夫人との運命的な出会いについては、第六感とでも言うような不思議な勘が働いたのでしょうか。「ザ・リバー」の川沿いを経てヘミングフォード・グレイのマナーハウスに至るまでの道程を語られた時は、息詰まるような臨場感がありました。ボストン夫人の屋敷は12世紀に造られた歴史的な建物だったのですが、その屋敷を舞台に夫人が「グリーン・ノウの物語」という童話を書いたことは、あとで知ったということで、「不思議な縁に導かれて、グリーン・ノウの物語のなかに住むことになりました」。

こうして、ボストン夫人と一緒に古いマナーハウスに暮らし始めるのですが、先生の話されるオックスブリッジ訛りの英語が夫人の信頼を得たようです。「言葉は人柄を表す」。イギリスは今でも階級意識が残っている国なのですね。

ボストン夫人との出会いは、のちに様々な稀有な人々との交流につながって行きます。マナーハウスの二階にあるミュージックホールで開かれたコンサートで知り合った人々。クラヴィコード製作者であり演奏家であるデリック・アドラムさん、ハープシコード演奏家のコリン・ティルニーさん、オルガニストのジェラルド・ギフォードさん、特筆すべきは、作曲家のハワード・ファーガソン博士です。彼は料理の達人でもあって、ローストチキンの作り方を伝授されるくだりは「イギリスはおいしい」に詳しいですね。

また、ケンブリッジ大学教授で、化学者から転身して雅楽研究者となったローレンス・ピケン博士の世界最大の雅楽文献コレクションに、「違う学問を本気で成し遂げること」に深い感銘を受けられたそうです。

ボストン夫人を初め、彼らイギリスの先達の方々は、長寿で堂々たる豊かな晩年を送られました。 彼らのライフスタイルに共通することは次の4点です。

ータバコを吸わない

ーよく歩く

ー自分のことは自分でする

ー芸術を身に付ける

さあ、私たちもイギリスの先達に見習ってあざやかなる人生を送ろうではありませんか。

【以下当日のご案内文です】

三日月会2015年4月度例会のご案内

  私達は昔からイギリスに親近感を感じ関心を持っています。4月度の三日月会は長らくイギリスケンブリッジ大学で研究生活を送られ、イギリスの文化、歴史、すべてに大変造詣の深い林望先生にご講演を頂きます。世界的児童文学者ルーシー・Mボストン夫人の生活はどんなものであったか、彼女の終の棲家であったヘミンフォード・グレイの領主館で共に暮らしたその晩年の日々のこと。そして、ケンブリッジ大学で知遇を得た、作曲家にして料理研究家ハワード・ファーガソン博士、また化学者にして雅楽研究者ローレンス・ピケン博士の、堂々たる独立の晩年。そこから見えてくる自由と独立の国イギリスのひとつの側面を中心にイギリスの先達の鮮やかな晩年についてお話し頂きます。多数の皆様のご出席を賜りますようご案内申し上げます。

 記
日  時 : 2015年4月21日(火)12:15~13:30

場  所 :  関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール
        千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー10階
        3階サピアタワーオフィスロビー受付前に「三日月会受付」(11:30~12:10)を設置

会   費 :  1,500円 (軽食は11:45から講演前にお出しいたします。)

スピーカー: 林 望(はやし・のぞむ)氏 作家・国文学者
1949年東京生。慶應義塾大学卒、同大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。ケンブリッジ大学クレアホール並びにオクスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジのライフメンバー。『イギリスはおいしい』で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ピーター・コーニツキと共著)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』で講談社エッセイ賞を受賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能、自動車、古典文学等幅広く執筆し著書多数。『謹訳源氏物語』(全十巻、祥伝社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。最新刊、第一句集『しのびねしふ』(祥伝社)

タイトル : 『あざやかなる晩年−イギリスの先達たちの想い出−』

*人数に制限がございますのでお早めにお申込み下さい。{最終申込締切4月15日(水}
*なお、出席される方のみお返事を頂きますようお願いします。

*メールによる申込方法:
次のリンクをクリックしますと申込みのフォーマットが出てまいります。必要事項を入力の上、送信ボタンを押してください。正しく送信されましたら、送られたメールアドレスに「ご連絡有難うございました。三日月会への出席申込を受付いたしました。」のメッセージが返信されますので必ずご確認ください。

URL

 同窓会東京支部のkg.tokyo@nifty.com へのメール返信では、申込み受付出来ませんのでご了承ください。
お問合わせ先:東京支部  TEL 03-5224-6226  FAX 03-5224-6227  E-mail:kg.tokyo@nifty.com
【次回予告】 5月度三日月会は5月27日(水)宮田修氏(神官・元NHKアナウンサー)
     仮題「アナウンサーから神官へ」                     
以上