2月の三日月会は、TBSや日本テレビの天気予報にご出演されています気象予報士の岡田沙也加氏をお迎えして、「天気予報の裏側」というタイトルで、私たちが知らない天気予報の側面をお話ししていただきました。私たちの生活で不可欠な天気予報は、身近な存在ですので、興味深く聴かせていただきました。28名の皆様のご参加、ありがとうございました。

【ご講演の内容】

 日本では新年早々に能登半島地震という大きな災害に見舞われました。国連大学の2016年世界リスク報告書によれば、①日本が災害にさらされる可能性は、171カ国中4位。②自然災害に対する脆弱性は171カ国中上位となって、総合評価としては17番目となっています。アメリカ127番目イギリス131番目をみると、日本はかなりの確率で自然災害を受けやすい国であるとの結果が出ています。自然災害への備えは必要なのです。

・災害の多い日本において、気象庁は、天気予報をどのように発表しているのでしょうか。

 ①観測②計算…スーパーコンピューターが50通りを予測③予測…気象官が予測を判断④発表となります。将来AIが予測することになり精度は大きく向上するそうです。

 最近の天気予報で線状降水帯というのが出されますが、これは政府の要請で2年前から始めたもので、予測に不十分な面があります。次の気象衛星ひまわり10号の運用が始まる2029年になると予測精度が向上することが期待されています。

・気象予報士について

 気象予報士試験は、受験要件が無く誰でも受験することが出来るので、受験者数が多くなることから、合格率は5%と厳しい試験と言われています。

・気象データは、天気予報以外に、どのような分野で使われているのでしょうか。

 気象予報士が主人公のNHK朝ドラ「お帰りモネ」では、車いすマラソンの選手に、どこでラストスパートをかけるかを、風のデータを基にアドバイスするというシーンがありました。実際に大手の気象予報会社は、ラグビーの日本代表と提携をして、練習メニューや健康のためのアドバイスをしています。海外試合では、現地の気象データだけでなく、試合スタジアムの構造からどこで風が強まるかなどの情報で日本代表をサポートしています。

 経済と天気も深い関わりがあります。23℃を越えると、冷たいものを飲食するので正露丸の売り上げが伸びるというデータもあります。気象庁は、気象のデータの経済活用を期待して、気温何度で何が売れたかを調査しています。天気予報を販売促進に使っている例として、気象会社ウエザーマップは、赤城乳業と提携して、温度や気候による消費者の購買動向を事前に読み、「ガリガリ君指数」というものを発表しています。多くの企業が気象予報会社から気象データの提供を受け、ビジネスに活かしています

・天気予報には、特徴があります。

 ヤフー天気は、天気マークが多く表示されていて、曇りマークの色でも違いがあり、違いを知っているとより詳しい天気が分かるという特徴があります。0.5ミリぐらいの雨は、気象庁では曇りになりますが、ウエザーニュースの天気予報は、雨マークを出しがちという特徴があります。

・天気予報の的中率について

 去年の11・12月は、明日のような短期的な予報はウエザーニュースが一番当たっていました。日本の気象庁の天気の的中率は、明日…83% 明後日…79%  3日目…75% 3~7日目…71%です。1月の明日の的中率は90%なのですが、7・8月の予報精度は良くなく、ゲリラ雷雨がどこで発生するか分からないというのが現状です。 

 最後に未来への警鐘として、「2100年未来の天気予報」というビデオを見せていただきました。

・あとがき

 気象予報が、今は天気の予報だけではなく、そのデータが私たちの生活を豊かにしてくれていることを、分かり易い言葉でお話ししていただき、気象予報の未来に期待が持てました。ご講演ありがとうございました。

 「2100年未来の天気予報」のビデオでは、日本全国の夏の気温が、晴れて43℃以上になり、また台風では、超大型になって日本を襲うというものでした。地球温暖化がもたらす異常気象に毎年、危機感を感じていましたが、未来の子ども達のために世界がCO₂削減を急がなければならないと痛感いたしました。

【以下開催時のご案内抜粋】

 三日月会2月度例会は、雑誌や本が好きで、立ち寄った書店で見つけた本が導いてくれた気象予報士の仕事に惹かれ、気象キャスターになり、現在ではTBSテレビや日本テレビに出演中の気象予報士岡田沙也加氏をお迎えし、下記内容にてご講演を賜ります。

 防災・温暖化防止の活動に力を入れていて、全国各地で講演会を受け持つ。災害ボランティアの経験から、法律で人を助ける行政書士の資格も取得し、活動の幅を広げておられます。

 好きな天気、「こな雪」は、さらさらとした積もりやすい雪です。雪の降り続いた翌朝に屋根や標識などあらゆる角を隠すように積もる雪を見ていると、心の角も和らいでいく気がしますとの事、さあどのようなお話を拝聴できるのでしょうか。

 是非とも多数の皆様のご参加を賜わりますよう、ご案内申し上げます。

                            記

日  時: 2024年2月3日(土曜日) 14時30分~15時45分 【14時開場】

場  所: 関西学院同窓会本部 銀座オフィス

東京都中央区銀座三丁目10-9 KEC銀座ビル7階

アクセス: 都営浅草線「東銀座」A8徒歩1分、銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座」駅A12徒歩3分

会  費: 1,000円 (小ペットボトルの飲み物を用意いたします。)

講  師: 岡田 沙也加(オカダ サヤカ)氏 気象予報士

1989年 神奈川県鎌倉の海の近くで誕生

2011年 慶応義塾大学環境情報学部卒業

同年  (株)ワークアプリケーションズに入社(IT関連企業)

2014年 気象予報士登録(合格率10%未満)

2015年 (株)ウェザーマップに所属(2023年4月現在の気象予報士:164名)

2020年 行政書士の資格を取得

現在のお仕事 日本テレビ「日テレNEWS24」「the SOCIAL」「NNNストレイトニュース」、TBSテレビ「JNNニュース」

趣味:雑誌を読むこと、SDGsを意識したサステナブルなファッション、ハーブ等を使用する植物療法、渓流釣り

演 題 :「天気予報の裏側」

以上