9月度例会は、日本笑いヨガ協会代表の高田佳子氏をお迎えし、笑いの効用について医学的データを交えたお話と笑いヨガ体験をしました。おもしろくなくても、笑うだけで脳が錯覚し、笑ったときと同じ健康効果が得られるのだそうです。脳をしつけることで、楽しく健康になれるということで、実践で気持ちが前向きになりました。この日も35度超えの酷暑にもかかわらず、26名のみなさまにご参加いただきありがとうございました。 

高田佳子先生の話の要約

○不機嫌な人とごきげんな人!どちらが好きですか。

 誰でも不機嫌で仏頂面の人より、笑顔の人のそばにいたいものです。不愉快なときは、コルチゾールやノルアドレナリンといったストレスホルモンが分泌され、血圧や血糖値が上がります。無邪気な笑顔に出会うと、セロトニンやエンドルフィンといった幸せホルモンが分泌されるという脳の働きなのです。心と体はつながっているので、心を前向きにするためには、感情より行動を変える方が手っ取り早いのです。

○笑顔でいられる空間を作りたい

 高齢になっても障がいがあっても一生笑っていられる空間づくりをしたいと考え、明石高専の建築学科卒業後、テントメーカーに就職。しかし、25歳で設計事務所を起業。長期滞在していたアメリカでストリートパフォーマンスに出会います。彼らの空間づくりの技術に魅了されました。ストリートパフォーマーを日本に招聘するイベントプロデューサーになり、世界中、日本中を走り回っていたとき、阪神淡路大震災を経験。一級建築士であり神戸生まれなのに、町の復興に役に立たない自分を振り返り、笑えない人に笑いを届けるケアリングクラウンをやろうと思い、即実行。同時に、大学院で老年学を学び、高齢者の健康や笑いの研究をしました。

○クラウン(道化師)より笑いヨガ

 ケアリングクラウンとは、病院や老人ホーム、避難所といったケアが必要な人がいる場所に、クラウンが訪問する活動です。アメリカから先生を招いて全国で講座を開催したところ、日本人にはクラウンよりラフターヨガ(笑いヨガ)が合うとアドバイスされました。体験して違和感を覚えたものの、肩こりが取れ、ぐっすり眠れて疲れが取れたのだそうです。そこで、インドに行って講師養成講座を受け、すっかりはまり、帰国後すぐに日本笑いヨガ協会をつくりました。そして、あっという間に全国展開しました。

○笑いは呼吸

笑いヨガに出会い、人間は面白いから笑うのですが、面白くなくても笑える能力があること、笑いそのものではなく、笑う動作に優れた健康効果があることがわかりました。ほとんどの病気は、低酸素と低体温が原因です。笑いを呼吸法と考えると、笑うと横隔膜が動き、血液循環が良くなり、体温が上がり、酸素が全身に巡り、健康になるのです。さらに、自律神経が整うので、睡眠、便通、偏頭痛も良くなるのだそうです。

○ストレスの弊害

 ストレスは、限界を超えると精神疾患やうつ病だけではなく、高血圧、高血糖、心疾患といった病気にも関係します。ストレスは心・身体・環境といった様々な原因で受けますが、やはり人間関係でストレスを感じる人も多いのではないでしょうか。相手に不快感を与え、過剰に気を使わせるのが不機嫌ハラスメント。フキハラと呼ぶそうです。精神的な苦痛が病気の原因になるのですが、最近ではそうした感情を簡単に測定できる機械ができていて、不機嫌は伝染しやすく、払拭しづらいということがわかっています。 

◎笑いヨガの体験

 ストレス解消にはいろいろな方法がありますが、すぐにできる方法として「姿勢」「呼吸」「笑い」が有効だそうです。笑いヨガには、この要素が全て含まれているとのことで、笑いヨガを体験しました。

まずは「1、2、1-2-3」のリズムで「ホッホッハハハ」声を出しながら手拍子します。笑うための筋肉と、呼吸の筋肉は同じなので、これを繰り返すことで、呼吸筋が鍛えられるそうです。そして、「いいぞ、いいぞ、イェーイ」と胸を開いて両手を上げて万歳の元気ポーズ。飛行機笑い、アロハ笑い、請求書笑い、昆布笑いと笑いの体操が出てくるたびに、手拍子と元気ポーズが繰り返されます。短い時間でしたが、体が熱くなり、汗が出てきました。

○笑いと病気の関係

 笑いと健康の関係の科学的研究も紹介していただきました。ほとんど笑わない人は、笑う人に比べ、2.5倍認知症が多い。また、笑わない人は1.5倍糖尿病が多く、心疾患も1.2倍多いのだそうです。

笑える機会を待っていたら、笑えません。笑いヨガのようにエクササイズでいいので、たくさん笑うことで、病気の予防になるのです。 

◎締め

   最後に、4秒吸って7秒止め、8秒で吐き切るという呼吸法を教えていただきました。朝にすると代謝が上がり元気一杯になり、夜にするとよく眠れるそうです。「体を変えると心が変わります。笑いあふれる人生をお送りください」ということでこの日の講演を締めくくっていただきました。

 ホッホ、ハハハ・・・を毎日やってみましょう! 

【以下開催時のご案内抜粋】

   三日月会9月度例会は、日本笑いヨガ協会代表高田佳子氏をお迎えし、下記内容にてご講演を賜ります。

   2009年1月、笑いヨガ発祥の地インド・ムンバイで笑いヨガティーチャー養成講座を受講した際、こんなすばらしいものがあるのかと感動し、アラビア海に沈む夕日に向かって、「私は日本にこれを持ち帰ってやります!」と誓い、帰国後、超高齢社会・ストレス社会といった課題の多くは解決できるのではないかと考え、日本笑いヨガ協会を創立されたそうです。

   笑い多き人生と、笑いの無い人生なら、笑い多き人生を選びたい人が多いはずです。価値観や立場の壁を乗り越える世界共通言語としての「笑い」の恩恵をみんなで分かち合いたいとのお言葉を賜っております。とても興味深いご講演を拝聴できるのではと期待が膨らむ講演内容でございます。是非とも多数の皆様のご参加を賜わりますよう、ご案内申し上げます。

日  時: 2023年9月2日(土曜日) 14時30分~15時45分 【14時開場】

場  所: 関西学院同窓会本部 銀座オフィス

東京都中央区銀座三丁目10-9 KEC銀座ビル7階

アクセス: 都営浅草線「東銀座」A8徒歩1分、銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座」駅A12徒歩3分

会  費: 1,000円 (小ペットボトルの飲み物を用意いたします。)

講  師: 高田佳子(たかだよしこ)氏

1958年 神戸生まれ。

明石工業高等専門学校建築学科卒業後、テントメーカーに就職しイベント空間の設計に携わる。

1983年 株式会社アートランド設立。

一級建築士事務所から徐々にイベントプロデュース業へ移行。

子育て期間中高齢者と笑いの研究を行い、桜美林大学大学院老年学修士取得。

2000年より、笑えない人に笑いを届けるケアリングクラウン研究会を始める。

2009年インドで笑いヨガティーチャーとなり日本笑いヨガ協会設立。

2020年、笑う生き方を選ぶ人をサポートするオンラインサロン笑い道を開始。

現在:株式会社アートランド代表取締役、日本笑いヨガ協会代表、日本応用老年学会 理事、早稲田大学非常勤講師

著書:ボケないための笑いヨガ(改訂版)、大人の笑トレ、笑いヨガで超健康になる、ポジティブ心理学再考(共著)、ケアリングクラウン他、著書・翻訳書多数

演 題 :楽生(らくいき)の秘訣は「笑い」と「脳のしつけ」

以上