6月の例会は、20数年間日米の金融の仕事に従事された後、経営者・経営者育成・数々の公職・企業の役員顧問などでご活躍されている一方、安全保障関係でも著名な専門家でもある越純一郎様をお迎えして、「日本人が知るべき親日の歴史」というタイトルで、海外の親日の国々を歴史に沿って丁寧にお話していただきました。ご自身がNHKドラマ「ハゲタカ」の素材となられたということで関心が高く、38名のご参加いただきました。ありがとうございました。

【ご講演の内容】

「日本人が知るべき親日の歴史」として、ポーランドとインドネシアの二国を挙げられました。二国においては、歴史的な経緯から親日の感情は強いのですが、日本人はそのことをあまり知りません。日本人が、経済と安全保障において親日国と日本との歴史を知る重要性について熱く語っていただきました。

・ポーランド

 ポーランドは、大変な親日国である。東日本大震災直後、ポーランドの国会では、黙とうが捧げられ、日本との連帯を全会一致で採択をした。何故なのか。それは100年前に遡る。

 1905年日本が日露戦争でロシアに勝利したことで、ポーランドは長く苦しめられていたロシアから解放され、1918年独立を宣言した。日本は、アジア国家として初めてポーランドを国家として承認し、1919年国交を樹立した。また、その頃に日本がポーランド孤児をシベリアから救出したということがあった。1920年頃シベリアには、ポーランド独立運動の志士や家族が流刑され、15~20万人のポーランド人がいた。腸チフスが流行し、親を失った孤児たちは、特に悲惨な状況にあった。ポーランドから、シベリア出兵中の米、英、仏、伊に孤児救出の要請をしたが、拒絶された。日本は、日本赤十字社と陸軍が756人のポーランドの孤児全員を救出し、日本で温かく迎えた。孤児たちは、元気を回復して無事ポーランドに全員帰国した。このことは、ポーランド国内では、広く知られており、ポーランド人の心に深く日本が刻まれ、日々の中に日本が存在している。

・インドネシア

 インドネシアの親日の源は、350年間オランダの植民地であったインドネシアを日本が解放したことにさかのぼる。日本がインドネシアを占領した後、軟禁されていた民族主義活動家を解放し、「インドネシア」という呼称の解禁、インドネシア語を公用語とした。日本の軍政における汚点もあるが、それでも親日家が多い。それは日本だけがアジアを支配する白人に立ち向かったということから、アジア人は劣っていない、自分たちにも独立する力があるとインドネシア人に自信を与えたからである。インドネシアの教科書には、日本がインドネシアの独立のためにいかに貢献をしたかを、丁寧に説明をしている。インドネシアの人々の心の中には、日本人がいる。

 この二国以外にベトナム、フィンランド、ベルギー、インド、トルコ、イラン、タイ、パラオ、ブルネイ、パプアニューギニアなど多くの親日国がある。

 親日の根底には①日本の経済力②日本人のIntegrityがある。

 ①  経済において日本が白人に負けないことを証明したことが、他の国を勇気づけている。

 ②  約束を守る・礼儀正しい・礼節・誠実・規律正しい・責任感・清廉・高潔・信頼などの

「道徳的、人格的に信頼できる徳性」のことを英語でIntegrityと表現し、親日国の根底に、日本人のこのような徳性を見ている。

 日本人は、親日国の思いを裏切らず、敬意持って接していかなければならないのである。

 私たちは、昨年のロシアによる軍事力によるウクライナ侵攻に、理不尽さと憤りを覚えました。自国をどのように守っていけば良いか考えさせられたのではないでしょうか。

「軍事力や経済力による強制ではなく、自国の魅力によって望ましい結果を得る力」をソフトパワーと言うそうです。日本の親日国との歴史は、重要なソフトパワーなのです。

 今回、親日国の日本との歴史について、初めて聞くことばかりでした。親日国だけでなく、他の国の歴史にも関心を持って見ていきたいと思いました。ご講演ありがとうございました。 

【以下開催時のご案内抜粋】

 三日月会6月度例会は、経済の現場から日本を支える経営実務家越純一郎氏をお招きし、「日本人が知るべき(外国から観た)親日観」につき、下記要領にてご講演頂きます。本講演は、「目を開かれる」思いとともに、ビジネスと安全保障の両面で、ハイレベルで実用的な情報・知識を短時間で得られるものです。日本人としての誇りを、事実の裏付けによって理解できるでしょう。

   講師の越氏は、東京大学法学部在学中に国家公務員試験(上級法律職)に合格するも、「日本経済に奉職して日本を支える」と決意して日本興業銀行(現みずほ)に就職し、20数年間にわたり、日米の金融市場でM&A、証券化、企画等に従事されました。

   2000年5月27日(海軍記念日)にニューヨークより帰国後、現場型経営者に転身、死の淵にあった千秋/シグマグループを再建。これは、産業再生機構が誕生した「再生の時代」の先駆けとして、NHKドラマ「ハゲタカ」の素材となり(越氏をモデルとした主人公は、柴田恭兵の演じた「芝野健夫」。最近のテレ東では、玉木宏。)、氏の著書「事業再生要諦」は同時期のベストセラーとなりました。その後、自らの事業(薬剤師Eラーニングほか)を経営する傍ら、全国の経営者の育成(内外のビジネス・スクールでの教鞭、「せおん経営塾」)、数々の公職(人事院 公務員研修所の行政研修教官、法務省「外国弁護士 制度研究会」委員、文科省「スーパー・グローバル・ハイスクール事業」運営指導員ほか)、幾多の企業の役員・顧問を歴任(タイの政府系銀行バンクタイなど。中小企業も多数。さらに、昨年、越氏が連載中の「日本人が知るべき親日の歴史」が日本安全保障・危機管理学会 学会賞を受賞するという、安全保障関係でも著名な専門家であります。この受賞論文を軸とする本講演は、「有意義で稀有」「ハイレベルながら平易」です。

   是非とも多数の皆様のご参加を賜わりますよう、ご案内申し上げます。

                            記

日  時: 2023年6月3日(土曜日)

14時30分~15時45分 【14時開場】

場  所: 関西学院同窓会本部 銀座オフィス

東京都中央区銀座三丁目10-9 KEC銀座ビル7階

アクセス: 都営浅草線「東銀座」A8徒歩1分、銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座」駅A12徒歩3分

会  費: 1,000円 (小ペットボトルの飲み物を用意いたします。)

講  師: 越 純一郎(こし じゅんいちろう)氏: 株式会社テイク・グッド・ケア 代表取締役

演 題 :「日本人が知るべき親日の歴史」

講師からのメッセージ:

「軍事力や経済力による強制ではなく、自国の魅力によって望ましい結果を得る力」をソフトパワーと言います。 ビジネスと安全保障の両面で、日本の重要なソフトパワーである、「親日国と日本の二国間関係史」を本講演では多くの実例をあげ、分かり易く説明します。(例:インドネシアの独立記念日は日本の年号で刻まれている)

                                                           以上